
帰省のたびに物の多さが気になってはいても、後回しになりがちな「実家の片づけ」。「親が元気なうちは…」と迷っている方や、どこから手をつけていいのか悩んでいるという方も多いのではないでしょうか。
この記事では「実家の片づけ」をするメリット、進め方や心構えをやさしく紹介します。ぜひ参考にしていただき、片づけの一歩を踏み出してくださいね。
実家の片づけをするメリット
高齢になった親の体力や、判断力の変化を感じ始め、実家を片づけなければ…と気が重くなっている方もいるかもしれません。でも実は、「実家の片づけ」には前向きになれるメリットがたくさんあるのです。まずはどんなメリットがあるのかをお伝えします。
ケガや事故の防止につながる
物が増えて片づいていない状態では、高齢になった親が床の物につまずいて転倒し、ケガや事故につながる危険性が高まります。骨折などで入院すると体力が落ち、環境の変化をきっかけに認知機能が低下してしまうこともあります。安全に心地よく生活するためにも、家の中を整理しておくことは重要です。
親の暮らしやすさが向上する
物の置き場所が何年も変わらず、不便を感じているようであれば、今の暮らしに合う形に見直してみましょう。整理されることで、「探す」「またぐ」「持ち上げる」といった動作が減り、親のからだの負担が軽くなります。
親の考えや想いを知ることができる
物を通して、思い出や人生を振り返るきっかけとなり、親がどのように考えているのか、心の中の本音が聞ける貴重な時間になります。
たとえば、介護や生き方、お金のことなど、これまで話題にしづらかったことも、自然と話題にのぼるかもしれません。「物の整理」は片づけ以上の意味を持っているのです。
将来の相続・手続きの負担が減らせる
相続に関わる書類(銀行通帳・保険証券・年金手帳など)の保管場所を把握でき、いざというときに役立ちます。
まずは「話すこと」から始めよう
親子とはいっても実家は親の大切な住まいです。突然、子どもから「どうしてこんなに散らかっているの?」「いらない物は捨てたほうがいい」などと言われたら、快く思えないのは当然です。
だからこそ、いきなり片づけようとせず、「家の中で何か困っていることはない?」といった声掛けで、親の気持ちを聞くことから始めましょう。
実は片づけたいと思いながらも、体力や気力の面でなかなか行動できずにいるのかもしれません。また、「地震のときに高いところの物が落ちないか心配なの」と、さりげなく安全面を気づかう気持ちを伝えれば、親も相談しやすくなります。

どんな物を必要として、何を大切にしているかは、人それぞれです。さらに思い出に対する想いは、本人にしかわかりません。まずは親がどのように考えているのかを知ることを最優先にしましょう。そのうえで、安全で快適に暮らせるように「整理するなら手伝うよ」「一緒に見直しをしよう」と、親の気持ちに寄り添います。
中には、「片づけ」という表現に抵抗を感じる方や、親世代によっては、物を捨てることをもったいないと感じている方も少なくないかもしれません。そういった場合は、「整理しよう」「見直そう」「大切なものを選ぼう」などのような前向きになれる言葉を使うことで、受け入れてもらいやすくなることもあります。
無理をしない「やさしい片づけ」の進め方
実家の片づけは、すべてを完璧にしようとは思わず、できるところから少しずつ始めましょう。進め方としては、物を「残すもの」「手放すもの」「保留するもの」の3つに分けて考えることをおすすめします。
親が大切にしている思い出の品や、今も日常的に使っているものはすべて「残すもの」です。古くても使い慣れたものや気持ちがこもっているものは残します。一方で、何年も使っていない家電や、サイズが合わなくなった衣類などは「手放すもの」の候補になります。
判断に迷ったら、無理に決断する必要はなく「保留するもの」にします。保留という選択肢があることで、気持ちの負担を軽くしながら片づけを進めることができます。保留したものは、時間をおいて改めて検討すれば良いですし、保留という形で手元に残しておけば、後で親がゆっくりと考えて判断する時間が作れます。
写真やアルバムは、本当に残したいものだけを厳選したいところですが、なかなか難しいかもしれません。写真をデータ化してPCやDVDに保存するなど、形を変えて思い出を残すという方法も選択肢のひとつです。
また、特に意識しておきたいのが書類の整理です。保険証券や年金手帳、不動産関係の書類、通帳などは、将来、介護や病気で手続きが必要になったときや、相続の際には欠かせません。どんな書類がどこに保管されているかを把握するだけでも、いざというときの負担は大きく軽減されます。さらに、書類を一緒に確認することは、親のこれからの生活や将来について話し合う、よいきっかけにもなります。

実家の片づけで大切にしたい心構え
片づけを進めるうえで、特に気をつけたいのが、親の物を勝手に捨ててしまうことです。「早くすっきりさせたい」という気持ちが先に立つと、つい自分の判断で処分してしまいがちですが、親の気持ちを無視した行動は避けるべきです。
実家にある物は、親にとってこれまでの人生や思い出がつまった大切な品々です。時には思い出話に花が咲いたり、胸がつまって涙したり、ということもあるかもしれません。そのときはいったん立ち止まって、ゆっくりと話に耳を傾けてください。
たとえ片づけが思うように進まなくても、親の想いを知り、どんなものがどこにあるのかを把握できただけで、大きな前進です。
実家の片づけは、「効率」を優先するのではなく、「気持ち」に目を向けることが大事で、形としての成果よりも、気持ちや情報をどれだけ共有できるかを重視します。自分の価値観を押し付けず、親の想いに寄り添いながら進めることで、親にとっても子にとっても、後悔のない実家の片づけになります。
兄弟姉妹がいる場合は、相談しながら役割分担をすることで、作業や情報共有がスムーズに行えます。必要に応じて片づけ業者や不用品回収なども活用し、一人で抱え込まず、家族や専門家を頼ることも検討しましょう。

実家の片づけは、捨てることが目的ではなく、親の想いや情報を共有し、これからの安心につなげるための大切な時間です。
無理をせず、できるところから少しずつ始めていきましょう。
★2026年1月20日現在の情報です
(執筆:世古瑞智子 監修:張替 愛)
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