子育て世帯において、お金の貯め時は3回あります。1回目は結婚してから子どもが産まれるまでの期間、2回目は子供が3歳になってから中学生になるまでの期間、3回目は子供が独立してから自分が退職するまでの期間です。
しかしもし中学受験をする場合、2回目の貯め時は「子供が中学生になるまで」にはならないのが現実です。なぜなら、小学校高学年から通い始める中学受験専門の塾は、想像以上にお金がかかるから。今回はもし、中学受験をする場合、貯められる時期はいつなのか、どのくらい貯めておけば良いのかを分かりやすく解説します。
<目次>
激化している中学受験
現在、首都圏では中学受験が非常に過熱しています。クラスの大半が塾に通い、中学受験本番の1月下旬~2月上旬は、かなり多くの生徒が小学校をお休みするという話を筆者もよく耳にします。
はじめは中学受験などするつもりはなくても、友達が塾へ行きはじめたり、高学年になり学童に飽き、放課後の時間を持て余したりして、慌てて中学受験を考え始めるといった家庭も少なくありません。
中学受験をする場合、多くの子が専門の塾に通います。この塾にかかる費用をしっかりと想定していますか?ネットなどで簡易的にできるライフシュミレーションでは塾代が含まれていないものがほとんどです。中学から私立に通うことを少しでも考えているならば、お金の貯め時・使い時を意識し、早くから計画する必要があるでしょう。
では、子どもの年齢ごとに、お金の貯め時・使い時を見ていきましょう。
子どもの年齢ごとのお金の貯め時・使い時
意外とお金がかかる0歳から2歳
保育園に通う場合、0歳児から2歳児の乳児は年齢的に幼児教育無償化の対象外のため、保育料がかかります。収入や地域によって差はありますが、認可保育園の平均は約月額3.7万円(※)です。一方、保育園に通わせず、子供を家庭で保育する場合は、片働きになることがほとんどのため、世帯収入を増やすことは難しいでしょう。この期間は、無理に貯蓄をしようと思わず、貯め時にしっかり貯められる家計づくりをしておくことが大切です。
なお、児童手当がもらえる人は、大学時期などの教育費のために、15年間使わずにとっておくように気を付けましょう。
(※):内閣府「幼児教育の無償化に関する住民・事業者向け説明資料」より
【貯め時】幼保無償化の恩恵を最大限受けられる年少~年長
3歳児~5歳児は幼稚園・保育園共に給食代や送迎などで数千円程度のお金がかかることはありますが、保育料は基本的に無償になっています。(認可外保育園は3.7万円までの利用料は無償。)習い事をしたり、英語教育に力を入れている幼稚園に入園させたりと家庭によって様々かと思いますが、ここは逃したくない貯め時だと筆者は考えます。
例えば、0歳~2歳の時に保育料としてかかっていた金額をそのまま貯金したり、子供が幼稚園に行っている間にパートをして世帯収入を増やしたりして、月に約4万円程度の貯金をすることをお勧めします。なぜ4万円とするかの理由はのちほど、説明します。
【貯め時】習い事費用や学童で大きく差が出る小1〜小3
小学校に入ると、共働きの場合は学童に入り費用がかかりますが、公立なら月数千円程度の出費ですむため、この時期も、頑張って月に4万円くらいは貯めたいところです。そして、この頃から子ども自身の中学受験に対する気持ちをきいてみたり、親の意向を話したりして、家族みんなで進学の方向性をすり合わせておくとよいでしょう。もし中学は公立と決めているなら、親としての意思を早めに子どもに伝えておくことも大切です。
ここまでの、年少~小3までの6年間で毎月4万円程貯蓄に回すことができれば、おおよそ300万円を貯めることができます。ここまでが『貯め時』です。
また、厳しい言い方になりますが、この時期に毎月4万円を貯められない場合、中学受験用の塾に通い、私立の中高に通うことは、現状の家庭の収支ではハードルが高いものと考えた方がよいと思います。
中学受験用の専門塾に通う小4〜小6
中学受験を考え始めたら、小4から塾に通うのが一般的です。ざっくりではありますが、授業料は小4で月4万円、小5で月5万円、小6で月6万円、加えて夏期講習・冬期講習などの費用がかかります。
また、小6は講習や受験料なども合わせると年間で約100万円程度はかかります。かなりの金額ですね。しかし、年少から小3まで毎月貯金に回していた4万円を塾代に回すようにすれば、家計への影響は少なくて済むはずです。
【使い時】私立に通う中学1年生〜高校3年生
晴れて中学受験で合格を勝ち取り、私立に通うことになった場合、学費として年間100万(約月8万)はかかることを覚悟しておいてください。
しかし、ここで出番なのが、年少から小3までに貯めた300万です。この300万円を6年間で50万円ずつ使って行けば、家計からの出費は今までと同じ毎月4万円前後で抑えることがでます。筆者が年少から小3までに貯める金額として4万円を示したのは、このためです。
【使い時】まだまだかかる教育費 大学や専門学校など
大学や専門学校では、医歯系でなければ、私立中・高と同じくらいの学費がかかると想定しておくとよいでしょう。しかし、ここでは、児童手当で貯めてきた200万円を使えば、家計からの負担も大きくなく、中学・高校と同じくらいの負担で対応できるでしょう。ただし、所得制限にかかり児童手当がない世帯や、出産したタイミングが遅く大学時期に収入が少なくなる世帯などは、より計画的に準備をすることが必要です。
いかがでしたでしょうか。もし中学受験を考えているなら、年少~小3までの6年間が貯め時と考え、しっかり計画、準備することが大切。安易な中学受験は禁物です。
もちろん、子供の人数が多ければその分だけお金はかかりますし、また、教育資金だけでなく、マイホームの頭金や老後資金なども必要な場合は、総合的に貯蓄計画をたてて、慎重に進路選びをするようにしましょうね。
★2023年3月30日現在の情報です
(執筆:渡部 ナオコ)
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