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定期預金の金利が100倍に!?やっぱり預けるべき?


2023年11月、三菱UFJ銀行などメガバンクは、5年から10年の定期預金の金利を引き上げることを発表しました。これまでの定期預金の金利は0.002%でしたが、引き上げにより、あるメガバンクでは5~6年の定期預金で0.07%、7~9年で0.1%、10年ではなんと0.2%とこれまでの金利の100倍となり、実に約12年ぶりの高水準となったのです。また、メガバンクの発表を受けて、一部の地方銀行も定期預金の金利をグンとあげました。

今回はこの定期預金が100倍になった背景と、定期預金に預け入れるべきなのかFPとしての見解を解説します。

なぜ定期預金の金利が上がったの?

日銀は7月の会合で長期金利の上限をこれまで0.5%程度としていたものを、1%まで容認することを決めました。この発表により、国債市場において10年国債利回りが0.4%台から約0.6%に上昇、9月には0.7%台にまで上がりました。さらに10月の会合で、長期金利の上限を厳格に1%に抑えるとしていたものを、1%をめどという形に見直し、金融政策の運用をより柔軟化することが決まったのです。今回の定期預金の引き上げは、この長期金利の上昇と、今後の日銀のさらなる政策修正を見据えて、預金を確保したいという各メガバンクの狙いによるものです。

メガバンク以外でも多くの地方銀行で、10年定期の金利を0.002%から0.2%へ、5年定期を0.002%から0.07%へ引き上げています。また、ネット銀行に目を向けると、5年定期金利で0.4%というところもありますし、信用金庫などでも金利を大きく上げたところも。なかには、ネット取引限定であったり、特定の地域に在住などの要件が設けられているところもあるようです。どこの金融機関が一番高いかは今後も変わっていくため、その時点での情報にアンテナを張ると良いでしょう

0.002%から0.2%になったら利息はどれくらい変わるの?

金利が、0.002%から0.2%と100倍になったことで、利息はどれぐらい変わるのか見てみましょう。

100万円を1年間預けた場合、これまでの金利(0.002%)では税引前で20円でしたが、今後は2000円もの利息となります。10年間預けた場合だと、単利型でたった200円しか利息がもらえなかったものが、100倍になった0.2%の金利であれば税引前で2万円の利息となるのです。もし複利型であれば10年で20180円になります。単利であっても複利であっても、10年にして比較するとその差は歴然です

こんな人は定期預金に預け入れてみるのもよいかも!?

長期金利が上昇し、定期預金の金利が上がりもらえる利息の金額が増えるのはうれしいことです。株や投資信託は元本割れのリスクがあるため投資が怖いと思っている人や、しばらくまとまったお金を使用する予定がない人は、新たに金利の引き上げられた定期預金に預入してみるのも良いでしょう。

また、既に預け入れをしている定期預金がある人は、これまでの条件と新たな定期預金の条件を比べて、一度見直しを行ってもいいかもしれません。ただし、10年定期の場合はずっと金利が固定することには注意が必要です。インフレに伴い市中金利が上昇する可能性が気になる人は、1年定期に預けたり、変動金利タイプの定期預金の活用がおすすめです。

もっと高金利の金融商品ってないの?

① 外貨定期預金

同じ定期預金でも、円建てよりドルなど外貨建ての商品の方が高金利と聞いたことはありませんか?

実際、アメリカの金利水準は日本よりも更に上昇しており、外貨の定期預金は1年物で5%台と高金利となっています。これだけ見るとたしかに円で預けておくよりお得なのではと感じることでしょう。しかし外貨の預金には注意すべき点が主に3つあります。

1つ目は銀行の破たんリスクです。預けている銀行が破たんした場合、国内の銀行であれば1人当たり元本1000万円+利息まで保証されますが外貨預金は対象外です。2つ目は預ける時、円で引き出す時に替売買手数料がかかること。3つ目は為替リスクです。預金を引き出したときの為替相場が、預け入れたときの為替相場より円高になっていると元本が割れてしまう可能性があります。これらの注意点を許容できるか考えることが大切です。

② 個人向け国債

利息を受け取れる商品として個人向け国債という商品があります。個人向け国債には固定金利型の商品で3年満期と5年満期、変動金利の商品で10年満期の3つの商品タイプがあります。

10年満期タイプは長期金利と連動しており、半年ごとに金利が見直されるため、長期金利次第でもらえる利息が上がったり、下がったりします。ただ、0.05%の最低金利保証もあるため、仮に長期金利が大幅に下落してももらえる利息が0円になることはありません。

また、発行後1年間は換金できませんが、1年経過すれば1万円単位でいつでも中途換金可能です。中途換金時に直前2回分の税引き前の各利息に一定の料率を乗じた中途換金調整額が差し引かれますが、元本割れはしないため、流動性は高い手段なのです。

気になる最新の金利(第165回1月15日発行)は、税引き前で0.46%となっていますので、10年定期金利よりも断然高いです。気になる方は、多くの銀行や証券会社で取り扱いがあるためぜひ調べてみてくださいね。

定期預金に以前から多くのお金を預けっぱなしにしている方は、ぜひご自身が預けている定期の金利を調べてみましょう。高金利の定期に預け替えをするなど見直すことができれば、今後の利息を増やせるのでおすすめです。

ただし、固定金利の定期預金の場合は、今後の市中金利が上昇しても預入日の金利のまま上がらないため、今後の金利上昇を予測している方は変動金利タイプにしたり、1年満期の定期にしておくとフレキシブルに対応できます。また定期預金以外にも、多くの利息がもらえる金融商品もあります。ぜひ色々な商品を比較検討してみてくださいね。

★2023年11月30日現在の情報です
(執筆:渡部 ナオコ
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