今回は、運用商品ラインナップやファンドの商品ページで見かける『純資産総額』という言葉について解説します。
純資産総額とは、ずばり!ファンドの規模のこと。
ファンドに組み入れられている、株式や債券など運用している資産全体の時価評価額なんです。
「純資産総額の大きいもの=人気があるのかな?」
「なんとなく大きい方がいいのかな?」
と、ファンドを選ぶとき、純資産総額を基準にすることもあるのでは?
果たして、純資産総額が大きい=よいファンド、純資産総額が小さい=よくないファンド、なのでしょうか?
ファンドはそれぞれ設定日(運用スタート日)が異なり、設定してから10年以上経っているものもあれば、1年未満のものもあります。
長期間運用を継続しているものはそれだけ資金も集まっていますし、運用が始まったばかりのものはこれから資金が集まってきますよね。
ですから、純資産総額の大きさだけでファンドのよしあしを図ることは、適切ではありません。
もちろん、純資産総額が大きいということは、それだけ資金が集まっている証拠でもあるので、投資家から支持されているバロメーターと見ることもできますね。
実は、純資産総額を見るときの大切なポイントは「変化」なんです。
純資産総額は、日々増えたり減ったりしますが、気を付けておきたいのは急激に減るとき。
それではどんな時に急激に減るのでしょう。
投資している株式や債券などが値下がりした時!
たくさんの投資家から集まった資金は、株式や債券に分散投資され日々運用されているため、投資先の商品が値下がりしたら、純資産総額も減ります。もし、純資産総額と同時に、基準価額も下がっていたらこの原因が考えられます。基準価額が大きく値下がりした場合には、要因や見通しなどが書かれたレポートが発行されることが多いので、運用会社のホームページなどで状況を確認してみましょう。
ファンドを保有していた投資家が解約をした時!
投資家が解約をすると、資金量(信託財産)は少なくなりますので、純資産総額も減ります。この場合、基準価額は大きく値下がりはしないことが多いです。
基準価額が大きく値下がりしていないにもかかわらず、急激に純資産総額が減っているときは要注意
その理由は、ファンドがやむをえず運用を終了する(償還と言います)ことがあるからなんです。
投資家からの解約が相次いでファンドの純資産総額があまりにも減少すると、ファンドは十分な分散投資が出来ません。その場合、ファンドは信託期間中であっても運用を終了することがあります。(どれくらいの規模になると償還する可能性があるのかは投資信託説明書に記載されています)そうなると、運用商品を選び直さなくてはなりません。
また、運用による損失が出ているときに償還を迎えてしまうと、運用の回復を待たずして損失を確定させてしまうデメリットがあることも頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
なお、純資産総額は分配金が出ても減少します。直近に多額の分配金が出ていないかもチェックしてみましょう。
分配金の支払いや純資産総額の変化は、ファンドごとの運用レポートで確認できます。
純資産総額の変化は、毎日チェックする必要はありませんが、数か月に一度くらいは変化がないかなぁと気にした方がよさそうですね!
(執筆 冨田 仁美)