代表の鈴木です。
私は開業以来、教育費に詳しいファイナンシャルプランナーとして主に「教育にかかる金額」や「教育費の貯め方」などを長年情報発信してきました。多くのご家庭で、大学受験から大学在学中の費用が家計に大きなインパクトを与えるため、0歳から18歳までに300万円~500万円を貯めようとアドバイスをしているのですが、この春娘が実際に大学受験をしたことで大学進学には色々なケースがありそれぞれで費用は異なることを知り、より貯めておくことが大事と実感したのです。
そこで、今、高校生までのお子様を持つママやパパに少しでもご参考にと、ケース別大学受験費用について書くことにしました。ただし、10人高校生がいたら、10通りの進学があるため、すべては網羅できないことをご理解のうえ、ご参照ください。
<目次>
大学進学には主に5つのケースがある
受験の制度はたびたび変わりますが、高校生が全日制大学に進む方法には主に次の5つの経路があります。なお、スケジュール等は大学や受験年によっても異なるため、必ず該当の学校の募集要項などをご確認下さい。
①一般選抜:高3の1月に共通テスト受験、その後2月~3月に一般入試受験。受験後数週間以内に合格発表
②総合型選抜の大学を受験:高3の9月に出願、10月選考、11月合格発表
③学校推薦型選抜の大学へ進学:高3の11月に出願、12月1日以降に合格発表。共通テストを選考に利用する大学の場合合格発表は2月頃。
④内部進学(他大学受験なし):付属高校(一貫教育校)から内部進学の推薦枠に入り進学するケース。高校によっても異なるが、高3の2~3学期に進学が決定。
⑤内部進学(他大学受験あり):内部進学の権利を保持したまま他大学を受験するケース
<ケース1>一般選抜
わが家の次女がこの春一般選抜を受けました。第1志望が国立大でしたが結果は
・国立 第1志望校:不合格
・私立 第2志望校:一般選抜不合格
・私立 第3志望校:共通テスト利用合格(志願は、共通テスト単独1学部・一般併用2学部)
・私立 第4志望校:共通テスト利用合格(志願は、共通テスト単独1学部・一般併用1学部)
どうしても国立が諦めきれないということで、別の国立大に後期でチャレンジし、奇跡的に合格をいただき今楽しく通っています。そのため、高校の卒業式(3月18日)時点は合格発表前で、なんとも落ち着かない状況でした(合格発表はその数日後でした)。
わが家の受験費用は後述しますが、おそらく少なく済んだ方なのではと思います。一般的な費用の目安は次のとおりです。
・共通テスト受験料:3教科以上→18000円・2教科以下→12000円(2025年度要項より)
・私立大学受験料×3~5校→1校あたり30000円~35000円 ※医学部は60000円程度
なお、共通テスト利用受験料は相場は15000円
・滑り止め校入学金(人によっては複数校)→1校あたり24万円(*1)
・国立大学2次試験(後期を受ける場合は2校)→1校あたり17000円
たとえば、共通テスト利用(3教科)と一般選抜である大学を1校だけ受けたとすると、共通テスト受験料18000円+私立大学受験料35000円+共通テスト利用受験料15000円=68000円 といった具合です。
(*1)文部科学省「令和5年度私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」参照
<ケース2>総合型選抜の大学へ進学
娘の友達にも多くいたのが、総合型選抜入試を受けるケースです。以前は「AO入試」と言われていました。国公立にも私立にも総合型選抜での募集をしているところは多く、行きたい大学であればまず総合型選抜にチャレンジ、ダメだった場合は一般選抜を、と考える人も多くいるようです。(ただし娘の場合、志望校の総合型選抜は「提出書類(論文)や面接・プレゼンの準備に時間をかけるなら受験勉強をしたい」と頑として受けなかったのですが)
総合型選抜の受験料は、国公立17000円、私立30000円~35000円 が目安となり、合格して進学を決めれば受験費用はこれだけとなります。
なお、国公立大学の中には、総合型選抜で合格しても、共通テスト受験が必須かつ一定以上の点数が取れないと入学できないというところもあるようなので、その場合は共通テスト受験の費用や、万が一不合格だった場合に備えた一般選抜の受験費用もかかります。
<ケース3>学校推薦型選抜の大学へ進学
以前は「推薦入試」と言われていたものです。学校推薦型選抜には、大学が特定の高校を指定して実施する「指定校推薦」と、高校の校長が推薦する「公募制推薦」があり、娘の通っていた私立高校でもかなり多くの大学に指定校として志願することができました(大学一覧が配られたのですがPDF5ページ以上でした)。受験料は総合型選抜と同様、国公立17000円、私立30000円~35000円 が目安です。一般的に指定校推薦の場合は合格したら入学は辞退できないので、決まってしまえば受験費用はこれだけとなります。また、総合型選抜と同様、国公立大学の中には、推薦型選抜で合格しても、共通テスト受験が必須かつ一定以上の点数が取れないと入学できないというところもあるようです。
娘の学校では、総合型選抜や学校推薦型選抜で合格しても、残り数ヶ月勉強しないといけない一般選抜の子のメンタルに影響を与えるからと、他言が禁じられていました。とはいえインスタなどで公開している友達もいたようです。娘も高3の12月くらいからメンタルが不安定になってきていたので、あまり見ないようにしていたみたいです。
<ケース4>内部進学(他大学受験なし)
鈴木の長女がこのケースでした。高3の2月頃に進学する学部が確定した記憶があります(ただしコロナ禍だったため、例年と違うかもですが)。受験がないため、受験費用が一切かからないのがメリットです。長女の大学では、入学金と1年生前期学費を3月に支払いました。
高校によっては内部進学できる推薦枠が多くないところもあり、成績によっては、内部進学の予定だったのに推薦にもれ、一般入試を受けざるを得ない人も多くいるでしょう。その場合は前述の受験費用がかかりますので、準備しておくと安心です。
<ケース5>内部進学(他大学受験あり)
昨今、医学部など行きたい学部が系列大学になかったり、国公立大学に行きたい場合に限り、内部進学の権利を維持したまま受験できる大学や、どの大学・学部も自由に受験できる大学も多くあります。その場合は、ケース1~3の費用がかかります。
鈴木自身もケース4でしたが、友人の中には系列大学ではなく「某国立大学にどうしても行きたい」という思いを持つ人や、内部進学では倍率が高くて行きたい学部に行けない人がいて、内部進学の権利を捨てて、他の大学の一般選抜を受験した人もいました。他にも、系列大学に進学の上、1年生を休学して勉強、他の大学を受験した人もいて、かなりお金はかかったと思われます。人の数だけ、進学の形があるんですね。
一般選抜のわが家の大学受験費用
ここで、わが家にかかった受験費用をご紹介します。娘の受験結果を再掲します。
・国立 第1志望校:不合格
・私立 第2志望校:一般選抜不合格
・私立 第3志望校:共通テスト利用合格(志願は、共通テスト単独1学部・一般併用2学部)
・私立 第4志望校:共通テスト利用合格(志願は、共通テスト単独1学部・一般併用1学部)
かかった受験費用は以下のとおりです。
・共通テスト受験料:18000円
・国立大受験料(2次):17000円
・私立大受験料:第2志望校35000円・第3志望校 3枠合計74000円・第4志望 2枠合計49000円
・国立大受験料(後期):17000円
・行かなかった第3志望大学の入学金:300000円
合計金額:510000円
わが家は、スケジュールがうまくハマり、行かない大学への入学金の支払いが1校で済み助かりましたが、人によっては2校や3校、払わざるを得ない場合もあるようです。また、受けた私立大3校のうち、第3志望と第4志望の大学は、「共通テスト単独」と「共通テスト&一般選抜併用」の2種類を志願したため、受験料が高くなりました。おそらく50万円くらいは一般選抜にチャレンジしたケース1の人はみんなかかっているのでは?と推測します。
以上、ケース別大学受験費用をお伝えしました。早い場合は高3の11月には入学金や学費の支払いが求められること、受験費用だけでも50万円以上かかるケースもあれば、内部進学で一切かからないケースもあることがお分かりいただけたかと思います。とはいえケース4、ケース5は、中学受験や小学校受験がセットとなるため教育費自体は跳ね上がるでしょう。
紹介したのはあくまで受験費用だけです。遠方の大学を受験する場合などは交通費や宿泊費もかかります。かけようと思えばいくらでもかけられるのが教育費ですが、家計には限界があります。できるだけ子どもの選択肢を拡げられるようお金を貯めておくのはもちろんですが、早いうちから教育費についても子どもとオープンに話しておくことも大切です。
☆2024年8月29日現在の情報です
(執筆:鈴木さや子)
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