2017年1月から、ほぼすべての現役世代が加入対象者となり、iDeCoの認知度も徐々に上がっています。今年に入ってからのiDeCo新規加入者数(※)を見ると、1月分で約27000人、2月分で約49000人と急増しています。(※厚生労働省発表によるもの)
最近では、フリーアナウンサーの加藤綾子さんと白イルカが出演するiDeCoのCMに、見覚えがある方も多いのではないでしょうか。
ところで、iDeCoの正式名称はご存知ですか?
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」のこと。
「個人型確定拠出年金」を英語表記した「individual-type Defined Contribution pension plan」の単語の一部をとってつけられた愛称なんです。
そう、確定拠出年金…ときけば、ピンとくる方もいらっしゃるのでは?
「会社できいたことがあるかも…」そうです、実はiDeCoは、会社で加入している「企業型確定拠出年金」と同じ「確定拠出年金」なんです。
「確定拠出年金」には会社で入る「企業型」と、自分の意思で入る「個人型」(iDeCo)があるんです。
企業型確定拠出年金とは、掛金を会社が負担し、運用は従業員(本人)が行うもので、企業の退職給付制度(=退職金)として導入されているケースが多いです。
大まかにいうと、確定拠出年金の掛金を出すのが、会社なのか個人なのかで、「企業型」と「個人型」に分かれています。
加入者数は…(厚生労働省HPより)
・企業型確定拠出年金:約590万人(平成29年2月末現在速報値)
・個人型確定拠出年金:約43万人(平成29年3月31日現在)
iDeCoの普及に伴い、個人型の新規加入者数は月を追うごとに増えていますが、現在のところ加入者数では企業型の方が圧倒的に多くなっています。
確定拠出年金がスタートしたのは2001年から。昨年までは主に企業が従業員へ支給する退職金の制度や(=企業型)、自営業やフリーランスの人など(=個人型)に活用されてきました。しかし、現在のように誰でも入れる制度でもなく、広く宣伝もされていなかったので、特に個人型を利用している人は少なかったのです。
もちろん、あまり知られていなかっただけで、確定拠出年金のメリットである
①掛金は全額所得控除(個人型の場合)
②運用益がずっと非課税
③受取時にも税制の優遇あり
は、これまで通り同じ。そして今年からは誰でも入れるようになって、iDeCoの加入者が急増しているという背景があります。
ところが、この「企業型」に加入している方に伺うと…
「会社から説明があったけど、よくわからない」「加入した時の手続きのまま、ほったらかし」とか、さらには「なにで運用しているのかわからない」
という声まであります。もったいなーい!
自分の将来の退職金なのに、ほったらかし?とこちらが心配になってしまいます。
個人型の場合は自発的に確定拠出年金に加入しますが、企業型の場合は会社が準備した制度なので、どちらかというと受け身で加入しているという点で、仕方ないのかもしれませんが。
実際に、わたしが所得控除のメリットを受けられないにもかかわらず(主婦なので)、iDeCoに加入しようと思ったキッカケは、旦那さんが加入する企業型確定拠出年金のメリットを知ったことだったんです。
わたしがメリットと感じた企業型確定拠出年金のポイントは…
・運用益がずっと非課税!
・会社がなくなっても(縁起でもないですが)、確定拠出年金=退職金は確保!
運用益が非課税であるメリットは、個人投資家として株式投資をする上で、約20%の課税があるのとないのとでは、雲泥の差があることを身に染みて感じています。
また、将来受け取る退職金を自分で運用できることもメリットです。
株式市況が好調だと感じ資金を増やしたいと思った時は、株式で運用するファンドに移動し、逆に今は守りの時だと思ったら資金を定期預金に移して価格変動のリスクを避けることもできます。自己責任ではありますが、自分でコントロールできるのはありがたいです。
(企業型確定拠出年金に加入しているのは旦那さんなので、あくまでも私はアドバイスをするだけです。念のため。)
そして会社の存続にかかわらず、これまで支給された企業型確定拠出年金の掛金は、すべて自分の資産であること!
勤めていた会社が倒産したり、外資系企業であれば企業本体が本国に帰ってしまって突然解雇されたり…といった時にも、確定拠出年金の資産は従業員(=本人)のものです。
運用中のものは一旦現金化しなければなりませんが、転職先に企業型確定拠出年金の制度があれば、資産を持ち運べますし(=移換)、制度がなければ個人型に資産を移し替えることが可能です。いずれにしても、60歳より前に受け取ることはできませんが、資産が確保されることは、大変心強い制度だと言えます。
というわけで、確定拠出年金のメリットを日々実感しているわたしです。
それだけに、ほったらかしーー!は実にもったいない話です。
もし、ほったらかしになっている、何が何だかよくわからないなら、会社の部署の方にたずねてみるとか、みらい女性倶楽部のセミナーに参加されて、せっかくの確定拠出年金を是非活かしていただきたいと思います。
★2017年4月28日現在の情報です
(執筆 冨田仁美)