最近、新聞記事の見出しに『超長期債』というキーワードをよく見かけます。
・社債大量償還、悩む投資家 超長期債に資金振り分け(日本経済新聞 2018/7/14付け)
・超長期債の発行2割増 日航が20年債準備(日本経済新聞 2018/9/2付け)
・超長期債、取引の主戦場に(日本経済新聞 2018/9/27付け)
超長期債とは、償還までの期間が10年を超える債券のこと。長いものだと償還まで50年の債券もあります。
ちなみに、償還まで1年以下のものを短期債、1年超5年以下のものを中期債、5年超10年以下のものを長期債といいます。
その「超長期債」が最近ホットだというのです。
でも、みらい女性倶楽部のメンバーSさんは「いまいち投資する魅力を感じられないなー。なぜ超長期債が人気なんだろう。」と、この現象にいぶかしげのご様子。
それもそのはず。
超長期債を好んで購入している「投資家」とは、いわゆる「機関投資家」と呼ばれる人たちのことで、私たちのような「個人投資家」ではありません。
機関投資家とは、生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、投資信託会社、年金基金など、運用を仕事としている法人のこと。
多くの資金を預かり、運用して成果を上げなくてはなりません。
この彼らが、運用による利息収入を少しでも多く得ようと、償還まで期間がより長い債券をこぞって購入しているのです。
これが、超長期債が人気化している理由です。
とはいえ、債券は償還までの期間が長ければ長いほど、その間の「金利リスク」にさらされるデメリットが。
それでも機関投資家が超長期債を選ぶのは、
『過去に発行された高利回りの社債が大量に償還し、償還分に見合う利回りを得なければならない』
といった、苦しい事情があるから。
これまで機関投資家が保有していた高利回りの社債が次々と償還(満期を迎えること)しちゃうけれど、それに代わる利子収入の確保は大変!!なので、背に腹はかえられず、超長期の社債を買っているといったところでしょうか。
一方で、超長期債を発行する方にも、
『将来の金利上昇に備え、設備投資などに充てる長期資金を、低金利の今のうちに確保したい』
といったニーズがあり、超長期債市場の需要と供給が見事にマッチしているんです。
ということで、超長期債は私たち個人投資家には縁遠い投資先でも、中期債や長期債への投資を検討することはあるでしょう。
そこで、個人投資家における債券投資の魅力と注意点を、簡単にまとめてみますね。
■なんといっても安定感が魅力
・債券は発行元が元本の保証をしているので、運用資産の安全性が比較的高い。
・満期と満期までの利子があらかじめ決まっているため、運用成果が想定しやすい。
・満期償還まで待つことなく中途売却が可能なので、換金しやすい。
■こんな場合には注意が必要
・発行元の財政が悪化したり破たんすると、元本の返済や利息の支払いがされない可能性も。
・償還前に途中で売却する時は、市場価格によっては購入価格を下回り損失が出ることも。
・外貨建ての債券は、満期償還時や中途換金時に為替の影響を受けることも。
債券投資と言っても、債券そのものを購入するだけでなく、債券が組み入れられた投資信託を購入することもあるでしょう。
いずれの場合も債券投資における魅力と注意点は同じです。参考にしてみてくださいね。