投資を始めてみようと本やYouTubeなどで調べていると、「全世界投資がよい」といった内容の発信が多いことに気付いた方もいるのではないでしょうか。しかしそう言われても、投資をしたことがない方には、「全世界って何?」となかなかピンとこないもの。今回はこの「全世界に投資する」ことについて、わかりやすく解説いたします。
そもそもなぜ、「全世界投資がよい」と言われるの?
全世界投資とは、特定の地域や国に限定しないで、世界の色々な国に投資することを指します。先進国や新興国を含む全世界の経済成長の波に乗り、その恩恵を受けることが目的です。
大切な資産を育てる投資において、リスクを分散させることはとても大切なことです。もし1つの国にしか投資していなくて、その国の経済が大きく悪化して価格が下落すると、投資資産全体に影響を受けます。また、自分が投資していない国の経済が大きく成長しても、その恩恵を受けることができません。
世界には多くの国があり、世界全体での経済のトレンドはあるものの、どのくらい成長または悪化するかは、国によって大きく異なるんです。ですから、「全世界投資がよい」と言われているのですね。
「全世界に投資」って具体的にはどうすれば良いの?
「全世界に投資」と言われたって、一体どうすれば良いかわからないもの。ここでは、有力候補としてあげられる2つの方法をお伝えします。
①投資信託
投資信託とは、私たちが投資したお金を、運用の専門家が株式や債券などに幅広く投資・運用する商品のこと。1000円など少額から(証券会社によっては100円から)始められる商品です。投資信託の大きな特徴は、少額の積み立てが簡単にできること。そのため、毎月の貯金と同じ感覚でいつでもスタートすることが可能です。
投資信託を使うと、1つの商品を買うだけで、全世界の株式や債券に分散投資できます。
全世界の株式に分散する投資信託の一つ、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を例に、どんな投資先があるか見てみましょう。
この投資信託を買うと、先進国23カ国、新興国24カ国、合わせて47カ国もの国の株式に投資できます。47分の1ずつ投資するのではなく、投資資産の約9割近くが先進国(アメリカは約6割)に、約1割が新興国に投資されます。国によって投資割合が違う理由は、企業の時価総額に応じた割合にしているから。そのためアメリカに集中しているのですね。
この商品には日本も投資先に含まれますが、全世界の株式に分散する投資信託の中には、日本を含まない商品もあります。
全世界を対象にした投資信託には、「株式だけ」を対象としたもの以外に、「債券だけ」を対象としたもの、「株式と債券両方」を対象としたバランスファンドと言われる商品があります。一般的に、好景気の時は株式が上昇傾向、不景気の時は債券が上昇傾向と言われており、投資資産に債券を組み込むことによって、リスクを抑えることができますよ。
iDeCoやつみたてNISA、また企業型確定拠出年金をしている方、これからしようと思っている方は、ぜひ運用商品のリストに「全世界に投資できる投資信託」があるか、チェックしてみてくださいね。
②ETF(上場投資信託)
投資信託と似ている言葉ですが、ETF(上場投資信託)を使っても全世界投資が可能です。ETFとは、証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託のこと。投資信託の一種ではありますが、大きなちがいがいくつかあります。
・ETFは、株式の売買と同じように、一日の中で価格が上下する
(投資信託は1日通して同じ価格)
・ETFは、自分が欲しい価格で注文ができる(〇〇円になったら買う!と指定できる)
(投資信託は不可)
・つみたてNISA取扱いのETFを買える会社は少なく、ネット証券では買えない
・一般NISAであればETFを買うことは可能(上場株式と同等の扱いのため)
・ネット証券では、ETFの自動積立設定ができるところもある
・信託報酬が投資信託よりもETFの方が低めの傾向
全世界の株式に分散投資できるETFの一つ「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」も、前述の投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と同じ配分で各国に投資し、運用成果も同じくらいですが、信託報酬は投資信託が0.1144%であるのに対し、0.0858%と低くなっています(令和5年2月現在)。
このように、「全世界に投資」している投資信託やETFを選ぶだけで、時間や労力もそんなにかからず、多数の国に投資できるのですね。非課税の恩恵を受けて積立をしたいのであれば、つみたてNISAで投資信託を選ぶか、一般NISAでETFを選ぶなどの選択肢がありますが、投資経験が少ない人の場合は前者の方が始めやすいでしょう。
「全世界に投資」した場合と「日本に投資」した場合のちがいを見てみよう
では、全世界株式に投資した場合と日本株式だけに投資した場合、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、過去20年間、毎月1万円ずつ積立投資した場合の比較を見てみます。
このデータにおける積立スタートから10年は、2008年のリーマンショックなどもあり世界的に経済低迷していた時期。全世界株式と日本株式に大きな差は生じていません。しかし2012年くらいから、資産の増え方に違いが出ていますね。最終的に2020年の段階では、投資総額240万円に対して、全世界株式は624万円、日本株式は503万円と差が開いています。
日本だけでなく全世界に投資することで、このように世界全体の経済成長を味方につけることができたのですね。もちろんあくまで過去の例ではありますが、世界全体で見ると、経済は基本的に成長を続けています。2023年の日本の経済成長率は1.8%と予測されているのに対し、世界の経済成長率は2.9%であり、全世界投資することが日本だけに投資するよりも期待度が高まることは明らかです。
まとめ
いかがだったでしょうか?「全世界に投資」という言葉だけ聞くとハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、実際は身近な証券会社で投資信託やETFを選ぶだけで、簡単に「全世界に投資」することができます。是非これを機会に「全世界に投資」をはじめてみるのはいかがでしょうか?
★2023年2月10日現在の情報です
(執筆:渡部 ナオコ)
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