子どもたちが将来、かしこい消費者として社会で活躍するためには、小さな頃から良いお金の習慣を育むことがとても大事です。特に、「お金」という限られた資源をどう使うか、生活に必要なものと欲しいものを区別して、優先順位をつけて選択する力は、将来の安心した生活に役立つ重要なスキルです。
イギリスのマネー教育では、「Becoming of Critical consumer(かしこい消費者になる)」という考え方が大きな柱の一つになっています。
このコラムでは、かしこい消費者になるための重要なポイントや、子どもの成長段階に合わせた実践的なアプローチを家庭で行える方法を紹介し、優先順位をつける力を育むためのヒントをお届けします。
ニーズとウォンツを理解して優先順位を考える習慣をつけよう
イギリスのマネー教育では、早い段階で「ニーズ(必要なもの)」と「ウォンツ(欲しいもの)」の違いを区別できるようになることが推奨されています。実際、筆者の娘も現地の小学校1年生の経済の授業で、ニーズとウォンツの違いについて教わってきました。
ニーズは、食べ物や服、住まいなど生活に欠かせないものです。一方で、ウォンツはお菓子やおもちゃのように、あれば嬉しいけれどなくても困らないような生活には必ずしも必要ではないものです。
とはいえ、小さな子どもに「ニーズ」と「ウォンツ」を区別することは簡単ではありません。多くのものが「ウォンツ」になりがちです。お店で見たおもちゃやお菓子を見て「欲しい!買って!」とねだることもあるでしょう。大人でも、欲しいものを前にすると、つい衝動買いしそうになりますよね。しかし、お金は限られた資源です。優先順位をつけて使わなければ生活が成り立たなくなることもあります。
「ニーズ」と「ウォンツ」を区別し、欲しいものを我慢するのはすぐには難しいかもしれません。まずは、日常の買い物で「これはニーズかな?ウォンツかな?」と、親子で一緒に話し合ってみてください。その時、「どうしてそう思うのか?」と理由を聞いてあげると、さらに理解が深まります。
自分にとって価値があることに意識を向けよう
普段から買い物のときに「これは必要なもの(ニーズ)?それとも欲しいもの(ウォンツ)?」と考える習慣をつけると、少しずつその違いがわかるようになってきます。
しかし、子どもが成長するにつれて「友達が持っているから欲しい!」「新しいシリーズが出たから欲しい!」と、友達やSNS、テレビ広告の影響を受けることが増えていきます。
イギリスでは、 “Critical Consumer(クリティカル・コンシューマー)”という考え方が子どものマネー教育にも取れ入れられています。
友達や広告など周りに流されずに「これは自分にとって本当に必要?」「お金を使う価値がある?」と考え、ものを買う時に自分でよく考え判断し、お金をかしこく使う力を育てることを目指しています。
かしこい消費者になるためのポイントは2つです。
・自分と他者(親や友達)とでは、「ニーズ(必要なもの)」が違うことを理解する
・広告は商品を魅力的に見せるための工夫がたくさんあることを理解する
他者との違いを知ることは、自分の価値観をつくるチャンスです。また、親が子どもに「どうしてそれが必要なの?」と問いかけることで、子どもは自分にとっての価値を見つめ直すきっかけになります。
単に「欲しいから」という理由だけではなく、その理由や背景を考える機会をつくることで、物事を冷静に判断する力がついていくのです。
優先順位をつけてお金を使えるようになるために家庭で実践したいアイデア
イギリスのマネー教育の柱の一つであるCritical Consumer(かしこい消費者)になるために設定されている各発達段階で獲得したい力は次の通りです。
これを踏まえて、親子で一緒にできる買い物を例にしたエクサイズをご紹介します。
日常的に必要な食料品、日用品、文房具や本など、子どもにとって身近な買い物の場面で実践してみましょう。
このエクササイズを通して、限られた予算で、商品を選ぶ時の考え方と優先順位のつけ方を学ぶことができます。
発達段階別に考えると、3歳から5歳くらいの小学校入学前の子どもには、「お店屋さんごっこ」など、遊びを通して学ぶのが良いでしょう。おもちゃの商品を手にしながら、ニーズとウォンツの区別をしたり、予算の中で優先順位をつける練習ができます。
小学校低学年くらいの子どもには、少額のお金を渡し、ショッピングリストに沿って実際に買い物をさせてみましょう。高学年になったら、自分のお小遣いの中から予算を決め、実際に使わせてみると良いでしょう。
子どもが自分で実際に買い物をしてみると、限られたお金の中で、欲しいものを全て買うことがいかに難しいか身をもって知ることができます。こういった失敗や苦い経験を含めた失敗を通じて、次の買い物ではよりかしこい選択ができるようになるでしょう。
親は、子どもと一緒に考えたり、行動を見守りながら、必要に応じてアドバイスをしてあげることが大切です。
<まとめ>
「ニーズ」と「ウォンツ」の違いを理解し、買い物の優先順位をつける力は、一生役立つスキルです。小さな子どもでも遊びながら学び、大きくなってきたら実際の買い物で実践を積んでいくことが、かしこい消費者になる第一歩になります。ご紹介したエクササイズを、日常生活にぜひ取り入れてみてくださいね。
★2024年9月27日現在の情報です
(執筆:原田幸子)
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