お金について子どもと話すのは、ちょっと難しいと感じることはありませんか?
長い間、お金の話題はタブー視され、特に親としては子どもを心配させたくないという思いから避けられがちです。
実は、マネー教育が進んでいるイギリスでも、お金については話すことを避ける傾向があります。しかし、それによって詐欺被害や経済格差が広がるなど、さまざまな問題も出てきました。今では、子どもも金融や経済について学ぶことがますます重要となっています。
本コラムでは、似た文化的背景を持つイギリスの取り組みを参考に、「お金の現実」について子どもと話す際のヒントをご紹介します。
子どもの未来を守るためにお金について話そう
お金の話をすることは日本ではタブーとされがちですが、今の世の中で「お金の現実」を知らないままでいると、さまざまな問題が生まれることもあります。
たとえば、正しいお金の知識(やりくりの仕方、使い方)がないと、いつもお金が足りなくて生活に苦労したり、投資詐欺や不正な勧誘などに巻き込まれたりするリスクが高まり、その結果、お金に対するネガティブなイメージが強まってしまうかも知れません。
また、物価の変動やインフレなどでお金の価値が変わることを知らないと、実際に経済状況が厳しくなったときに対処が難しくなります。
こういったリスクに備え、子どもには小さい頃から「お金の現実」を伝え、状況に応じた判断と、未来に向けた前向きな行動ができる力を育むことが、今求められているのです。
参考にしたいマネー教育先進国イギリス式「お金の現実」との向き合い方
2022年秋、イギリスは急激な物価高騰を経験しました。前年比11%を超えるインフレ率が記録され、エネルギーや食料品といった生活必需品の値上げが止まらず、「生活費の危機」という言葉が連日メディアをにぎわせ、暗く寒い冬を前に、多くの人々が不安な日々を過ごしていたのです。
そんな時期、現地の小学校に通う筆者の娘は、学校で次の2つのことを体験しました。
1つ目は、学校で「生活費の危機」に関する子ども向けのニュース番組を見たことです。日頃から小学校では、政治経済、自然科学、スポーツ、文化など幅広いトピックに関する番組を見る機会があるのですが、この時は、同年代の子どもたちが、家族と一緒に行っている工夫や節約方法について話をしていたそうです。家族で協力して困難を乗り越える大切さを娘も実感したようですよ。また、困った時に頼れる制度や場所などについても紹介がありました。
2つ目は、学校のストライキの前に、クラス担任が小学1年生の子どもたちに、どんどん物価は上がっているのに、給料が上がらないから生活が厳しくなっている、とわかりやすい言葉で説明してくれたことです。
イギリスでは、教職員組合が賃上げを求めるストライキがたびたびあり、学校は休校になるのです。この体験を通じて、娘は、こうした給料に関する話題が遠い世界の話ではなく、身近で厳しい現実があることを実感したと思います。
イギリスのように、経済状況やリスクについても子どもに隠さず伝え、どう対応するかを一緒に学ぶことは、日本でも参考になるのではないでしょうか。
未来は明るいと伝えたい!「お金の現実」を子どもに話すときのアイデア
「お金の現実」というと、どうしても暗く重い印象になりがちです。特に最近の物価上昇は、多くの家庭で家計への負担が増えており、大人だけでなく子どもも不安を感じることがあるでしょう。
日常生活において「また値上がりしているね。お金ないから買ったらダメだよ」と言ってしまうことがあるかもしれません。しかし、単に「ダメ」と禁止するだけでは、子どもに漠然とした不安を与えてしまう可能性があります。また、つい言ってしまいがちな「お金がない」という言葉は、大人だけでなく子どもにも非常に重くのしかかる可能性があり、慎重に扱う必要があります。
事実を伝える
子どもにお金について話すときは、感情的になったり不安を煽ったりするのではなく、まずは落ち着いて、事実とその背景を説明することが大事です。たとえば、「物価が上がっているから、今はちょっと節約しようね」と、どのくらい値段が上がっているのか、その理由や影響について具体的に説明してあげるとよいでしょう。
最近のニュースから、次のように事実を伝えることができます。
解決策を共有する
事実やその背景を確認したら、解決策や前向きな見通しを示すことが大切です。子どもが不安を感じやすい場合は、「今は少し我慢が必要だけど、工夫すれば楽しいこともたくさんできるよ」と伝えてみましょう。たとえば、外食を控えて家でレストランごっこをしたり、週末にはお弁当を作って公園でピクニックをしたり、ポップコーンやジュースを用意して映画鑑賞をするのも楽しい時間の過ごし方です。
またこの機会に、「ニーズとウォンツを区別し、優先順位をどうつけていくか」について話し合うのも効果的です。こうしたアプローチは、子どもも家族の一員として積極的にアイデアを出せる場を作るだけでなく、子どもの不安をやわらげ、安心感を与える手助けになります。
子どもと対話する
身近で起こっていることや自分の生活に関わる「お金の現実」を知ることで、子どもは問題を自分ごととして考えられるようになります。そのためにも、親子の対話が欠かせません。親の考えを一方的に押し付けるのではなく、家族や社会の一員として子どもも積極的に参加できるように促しましょう。また、子どもがお金に関する疑問を持ったときは、対話の絶好のチャンスです!
まとめ
子どもには、未来に対してワクワクした気持ちを持っていてほしいものです。小さい頃から、事実に目を向け、解決策を一緒に考えることを意識しながらお金について対話を重ねておくことで、子どもはお金に対する自信をもちやすくなります。
また、もしもの時にそれを乗り越える力も育まれていきます。親子の対話を通じて、子どもが未来に前向きな気持ちを持てるよう、日々のサポートを大切にしていきたいですね。
★2024年11月14日現在の情報です
(執筆:原田幸子)
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