東京証券取引所をはじめとする全ての証券取引所に上場する株式の売買単位が、10月1日から100株に統一されました。
売買単位とは、上場株式を売買する時の最低株数のことです。
かつては、株式の売買単位といえば銘柄によって「まちまち」が当たり前。でも売買単位が異なると、わかりにくいだけでなく発注の間違いなどもありました。
そこで投資家の利便性向上を目指し、売買単位を100株に統一すべく2007年からプロジェクトが進んでいました。
実は、取り組み当初の売買単位は1株、10株、50株、100株、200株、500株、1000株、2000株と8種類も!
その8種類を2014年3月までに100株と1000株の2種類のみに集約、そして2018年10月1日からはすべての株式の売買単位を100株へと、段階を踏んで一本化されたのです。
先日の日本経済新聞の記事によると、これにより東証1部の株の購入に最低限必要な金額は、2000年代初頭で平均70万円程度だったのが、26万円程度に下がるそうです。
(日本経済新聞:「株売買、10月から100株単位に統一 個人も投資しやすく」2018/09/29付け)
最低投資金額が下がれば、個人投資家の方には今まで以上に株式投資へのハードルが下がることになりますね。
たとえば、1株500円の株式が売買単位1000株だと最低投資金額は、500円×1000株=50万円。これが100株単位になると、500円×100株=5万円、と急に手の届きやすい金額に。
投資資金が100万円の場合、最低投資金額が50万円では2銘柄しか購入できませんが、5万円なら20銘柄の株式に投資できます。
つまり最低投資金額が下がると、より多くの銘柄に分散できたり、何回にも分けて投資できるので、リスク低減効果につながるんですね。
また、米国など海外の取引所では一般的に売買単位は統一されているようで、日本特有の制度が変更されたことで海外投資家目線でもスッキリ整備された市場になったと言えそうです。
さて、個人投資家の端くれであるわたしにとってのメリットはというと、
・銘柄ごとに売買単位を確認する手間がなくなる(投資の時短)
・一度に投資できる銘柄数が増える(リスク分散)
・購入タイミングを増やせる(リスク分散)
・売却タイミングを増やせる(利益確定チャンス)
個人的には「買いやすく、売りやすい」環境になりました。
一説には、売買単位が100株に統一され最低投資金額が下がると、市場が荒れやすくなると言った意見もあるようですが、近年はコンピューターによるアルゴリズム取引などでもともと荒れやすく、今回の施策によるデメリットは今のところ体感できていません。
いずれにしても売買単位が100株に統一されたことで、市場参加者みんなにとって、より使いやすくなったことは間違いないのではないでしょうか。