投資信託を保有している間、ずっとかかるコストに信託報酬があります。信託報酬は、運用管理費用ともいい、信託財産から日々差し引かれています。
近年、つみたてNISAやiDeCoの普及もあり、信託報酬の低コスト化が進んできました。同じ投資先、同じ運用スタイルならば、信託報酬のより低いファンドを選ぶといった動きも浸透してきています。
一方、信託報酬以外に、投資信託を保有している間のコストがあることは、あまり知られていないかもしれません。しかし、信託報酬と同様に、日々、間接的に差し引かれるため、信託報酬以外のコストも含めた「実質的な保有中のコスト」にも意識を向けたいところです。
そこで今回は、信託報酬以外のコストの概要と、確認方法について紹介します。
信託報酬以外の主なコストとは
投資信託を保有している間にかかるコストには、信託報酬のほかに、「売買委託手数料」「有価証券取引税」「保管費用」「監査報酬(監査費用)」などがあります。それぞれ、信託報酬と同様に、日々、信託財産から間接的に差し引かれています。
<売買委託手数料>
ファンドに組み入れられている株式や債券など、運用中の売買で発生する費用。売買の頻度や金額により異なるので一定ではありません。
<有価証券取引税>
売買委託手数料に対する税金。
<保管費用>
海外の株式や債券など、外国での資産の保管等にかかる費用。
<監査報酬(監査費用)>
投資信託は、法律により監査が義務付けられています。監査費用は、監査法人などに支払われる費用のことです。
信託報酬以外のコスト、どこで確認できる?
「売買委託手数料」「有価証券取引税」「保管費用」「監査報酬(監査費用)」などの費用は、実際にかかったものを信託財産から差し引く形なので、事前にいくらかかると確定していません。そのため、購入時に見る「目論見書(もくろみしょ)」ではなく、「運用報告書」に実際どれだけかかったかが掲載されています。
運用報告書は、原則、投資信託の決算期ごとに作成され、期中の運用状況や経過などの報告、今後の運用方針について記載されています。
その中に、期中に発生した費用の報告として、費用明細(1万口当たり)の項目があります。それぞれの費用ごとに記載がありますので、こちらで確認しましょう。
サンプルの投資信託でみると、信託報酬は0.539%ですが、信託報酬以外の費用も含めた実質的な保有中のコストは合計で0.629%です。信託報酬以外の費用は一定ではないため、決算期ごとにばらつきはありますが、保有している間にかかるコスト全体の目安になります。
運用報告書の検索方法
運用報告書は、運用会社のホームページか、投資信託協会のホームページで閲覧できます。
投資信託協会のホームページの「投信総合検索ライブラリー」では、確認したい投資信託のファンド名で検索可能です。ファンドごとのページにある「運用報告書」をクリックすると、直近の決算期の報告書を見ることができます。
投資信託以外のコストの確認にはひと手間かかりますが、運用報告書も閲覧した上で、同じ投資先、同じ運用スタイルでファンドのコスト比較をすると、より低コストのファンド選びができます。
投資信託の保有している間にかかる実質的なコストのチェックには、ぜひ「運用報告書」を役立ててくださいね。
★2021年10月3日現在の情報です
(執筆 冨田仁美)
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