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投資信託の「信託報酬」は安い方がいい。でも、目安は?注意点は?

投資信託のファンド選びで「信託報酬」を意識する動きが、だいぶ定着しているようです。

モーニングスターの記事(不確実な時代でも確実なコスト、「安い」投信マネー安定流入)によると、

国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)を対象に、「モーニングスター・フィーレベル(※)」を用いて、信託報酬の水準別に資金流入を集計したところ、

最も低コストとなる「安い」ファンドが、
・11カ月連続で資金流入超
・純資金流入額は4カ月連続で大台の1,000億円超

となったそうです。
(※)モーニングスター・フィーレベルは、コスト水準を5段階(安い、平均より安い、平均的、平均より高い、高い)にし、一目で分かりやすくした指標。

フィーレベル「安い」のうち、運用スタイル別でアクティブとパッシブに分けても、過去11カ月はいずれも資金流入超。

低コストファンドを選ぶ傾向は、運用スタイルにかかわらず強まっているようです。興味深いですね。

一方で、コストは安い方がいいと知っていても、水準がわかりにくい、ってことありませんか?

そこで今回は、信託報酬の目安になる水準と、コスト以外に気をつけたいポイントについてお話します。

信託報酬は基本的にゼロにはならない

信託報酬は運用管理手数料とも呼ばれ、ファンドを保有している間ずっとかかるコスト。
運用のよしあしにかかわらず、毎日信託財産から差し引かれます。

ファンドの運用成績を確実に押し下げる要素なので、販売手数料や信託財産留保額より重視しましょう。

そして最近は、「つみたてNISA」や「iDeCo」の普及で、信託報酬の引き下げがトレンドになっています。投資家目線では嬉しいですね。

では、今後どんどん引き下げ競争が進み、ゼロになったりするのでしょうか。

そんなことは、基本的にありません。

なぜなら信託報酬は、投資信託の運営にかかわる3つの機関の「必要経費」だからです。

3つの機関とは、

・購入や解約の窓口となる「販売会社」
・商品を作り運用する「運用会社」
・運用会社からの指示で株や債券の売り買いを実行、資産の管理をする「信託銀行」

それぞれの機関が業務を担当し、日々、運営されています。

ですので、信託報酬の低コスト化が進んでも「ゼロ」になることは基本的にないんです。

ところが、先日「信託報酬ゼロ」のファンドが出現しました。
野村アセットマネジメントの「野村スリーゼロ先進国株式投信」、つみたてNISA専用ファンドです。

でも、信託報酬がゼロになるのは、2030年12月31日までの期限付き。その後は0.11%(税込)以下と、業界最低水準を目指すようです。

今後は、こういった期限付きのコストゼロな商品も増えていくかもしれません。
期限を過ぎた後のコストにも要注意ですね。

ちなみに、ノーロードファンド、という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
それは「販売手数料が無料のファンド」という意味で、信託報酬とは別のコストです。

資産別信託報酬の平均値

なるべく信託報酬が「安い」ファンドを購入したいと思った時、目安になるものはあるのでしょうか。

モーニングスターのHPに、参考となる数値がありました。

これによると、指数連動を目指すパッシブ運用のコスト平均は0.36%~0.68%、一方、指数を超えることを目指すアクティブ運用のコスト運用は0.39%~1.87%となっています(2020年4月末時点)。

リンク先に資産別が載っていますので、検討しているファンドに合わせて、資産別のコスト平均を参考にするとよいですね。

たとえば国内株式パッシブ型のコスト平均は0.51%なので、検討している国内株インデックスファンドのコストが0.51%以上なら、平均より高いと判断できます。

ただし、この数値は、あくまでも「平均値」。

投資資産別の「最安」水準を知りたいときは、条件を指定し検索が可能です。

たとえば、「国際株式型の先進国(除く日本)」のインデックス型ファンドを検索するときは

モーニングスターHPの、

投資信託→ファンドを探す→詳しい条件を指定して検索

【ファンドタイプのカテゴリー】で「国際株式・グローバル・除く日本」を指定

【ファンドタイプのインデックス区分】で「インデックスファンドのみ」を指定

すると「検索結果34件」と出てきます。

一覧表の「信託報酬等(税込み)」で並べ替えれば、「ニッセイ外国株式インデックスファンド」「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」の0.10%が、最安水準だとわかります。(2020年5月8日現在)

※2021年9月21日現在:「国際株式・グローバル・除く日本」「インデックスファンドのみ」の検索結果38件、最安水準は上記ファンドの0.10%です。

コスト重視、気をつけるポイントは

信託報酬を意識するあまり、見落としがちなのが「どこで買うか」です。

投資信託は、証券会社、銀行、郵便局、保険会社、信用金庫、農協など多くの金融機関で買うことができます。

運用会社が販売会社を通さず、「直販」するところもあります。

投資信託は、基本的に長期の資産形成に役立てる手段です。ですので、おのずと購入する販売会社とも長いお付き合いになるでしょう。

もし投資初心者であれば、始めるにあたって疑問や質問、購入してからは運用状況などの把握に、適切な相談相手が必要かもしれません。

信託報酬は、ファンド選びに重要なチェックポイントです。
ですが、長い投資期間のパートナー選びも、大切なポイントと覚えておいてくださいね。

★2020年5月12日現在の情報です
★2021年9月21日更新
(執筆 冨田 仁美

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