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第8話 人・世の中のためにお金を使う大切さを伝えよう 〜「寄付」で学ぶ社会とのつながり〜 【マネー教育最先端のイギリスに住んでわかった「日本に足りないお金の教育」】

子ども向けのマネー教育では、お金の「使い方」や「貯め方」が取り上げられることが多いもの。しかし、「人や世の中のために使うお金との向き合い方」も、伝えたい、とても大切なことがらです。

たとえば「寄付」が当てはまります。寄付を通じて、子どもたちは社会や他者を思いやる心を育み、自分が社会の一員であることを実感できるんです。

最近では、災害復興の募金やクラウドファンディングなど、日本でも寄付が身近なものになりつつありますね。このコラムでは、チャリティ文化が根付いているイギリスの事例を参考に、家庭で「人や世のために役立てる方法」を学べるアイデアをご紹介します。

なぜ「寄付」がお金の学びにつながるのか

子どもがお金について学ぶ際に大切なのは、お金の「稼ぎ方」や「貯め方」だけではありません。特に人や社会とのつながりを意識した「使い方」を学ぶことも大切です。その一つの方法が「寄付」です。

寄付を通じて、子どもは自分のお金が社会でどのように役に立つのかを実感できます。また、社会の課題に目を向けたり、自分に何ができるかを考えたりするきっかけにもなります。買い物や消費だけではない、「意義のあるお金の使い方」を知る貴重な体験にもなるでしょう。

こうした経験は、経済的に豊かになるためだけではなく、他者への共感や社会貢献の心を育むことにつながります。子どもにとって「寄付」の経験は、社会と自分とのつながりに気づくことができる、重要なお金の学びの一環なのです

イギリスの事例に学ぶ「寄付」を通じて育める力

イギリスでは「寄付」が身近な文化として根付いており、学校教育にも取り入れられています。特に7〜9歳では、寄付を通じてお金の役割を学ぶことがマネー教育の重要なテーマとして推奨され、9歳以降に学ぶ税金や社会保障の土台になっています。

筆者の娘は、現地小学校の1年生の「経済」の授業で、チャリティ団体について学びました。チャリティ団体の目的を知った上で、自分たちで寄付先を選び、実際にお金を集めるために楽しいイベントを企画し実行しました。あるクラスは、ポップコーンを用意して映画鑑賞、別のクラスは好きなぬいぐるみを持ち寄って遊ぶなど、自分たちも楽しみながらお金を集めて、実際に寄付をするという体験型授業でした。このような活動を通じて、子どもたちは実際に行動しながら寄付の仕組みを学びます。

授業以外でも学校を通じて様々なチャリティ団体に寄付する機会があります。例えば、保護者などが児童のスポンサーとなり、児童が目標距離を走ることができたら寄付をするスポンサード・ウォークや、クリスマスジャンパーを着て学校に集まりゲームやクリスマスランチを楽しむクリスマスジャンパーデイなど、体を動かしたり、友達と楽しんだりしながら、寄付に参加する機会も豊富です。イベントに際して、先生が子どもたちに寄付金の行き先を問いかけ、目的を確認する様子も見たことがあります。

また、子どもたちが自主的にベイクドセールや手作りアクセサリーの販売などを企画し、得た収益を学校運営資金として寄付することもあります。これらの取り組みは、特定の宗教に偏らず、多様な国籍や文化を持つ児童たちが参加できる形で行われています。

これらの活動を通じて、子どもたちは寄付の意義を実感しているようです。例えば、自分が寄付したお金がどのように使われ、どんな人や団体を助けることができるのかを知ることで、寄付の背景や社会の課題への理解を深めることができます。また、一人一人が持ち寄り集まった金額が発表されると大きな力になることを実感します。こうした経験を通じ、子どもたちが「人や世の中に貢献できる自信」を身につけたり、充実感を味わうことができるのです。

寄付を通じて、お金の果たす役割について考える良いきっかけになります

家庭でできる寄付の第一歩

寄付を行う際には、子ども自身が納得して行動できる「理由」を持つことが大切です。寄付を「する」か「しない」か、そのどちらの選択も尊重し、それぞれの理由を子どもが自分の言葉で語ることで、お金の価値や使い方を深く考えることができるのです。

家庭で寄付を始める際の実践アイデアを3つ紹介します。

① 「人や世のために使うお金」専用の目的別貯金箱を用意する

子どものお小遣いやお金は、目的に応じて貯金箱を分けて管理する方法がおすすめです。寄付やプレゼントなど「人や世のために使うお金」は、そのための専用の貯金箱を用意しておきましょう。

特に、自分のお金が減ることを惜しいと感じやすい場合には、目的別に管理することで、誰かの役に立てるお金の使い方があることをより実感しやすくなります。
学校や街角で募金活動を見かけたとき、災害が発生して寄付の機会が訪れたとき、同年代でサポートを必要としている子どもの存在を知ったとき、野生動物の保護をしたいと感じたときなど、「力になりたい!」と思った瞬間に、気持ちよくお金を出せる状態にしておくことが大事です。

② 家族で寄付や募金の目的を共有し確認する

寄付の目的について家族で話す時間を持ってみましょう。子どもが寄付を募る団体の目的に共感し、集まったお金がどのように使われるのかを理解した上で、自分の意思で寄付を選べる環境を整えることが大切です。「寄付しない」という選択も含めて、子ども自身の判断を尊重しましょう

③ お金以外で人や世のために役立つことを経験する

お金以外で、人や世のために役立つ経験を増やすことも効果的です。
たとえば
・困っている友達や周りの人をサポートする
・学校のバザーなどで不用品を寄付する
・地域のボランティア活動に参加する
・近所の「ゴミ拾い」に参加する

こうした経験をすることで、自分が社会に貢献できる方法を学べます。
これらの取り組みが、子どもにとって人や世のために役立てる存在であることを実感できるだけでなく、社会が抱える問題や課題に気づくきっかけにもなるのです。

おわりに

お金の果たす役割を考え、社会の一員として行動する意識を育むことは、寄付だけでなく将来的な資産形成や投資にもつながります。
「寄付」やシェアする経験を通じて、子ども達が「自分も社会に貢献できる存在」であると感じられる環境を、家庭や学校で作っていきましょう。

 

★2024年12月18日現在の情報です
(執筆:原田幸子

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