2017年に入り、ほぼすべての現役世代が加入対象者となったiDeCo。去年の今頃は、対象者が拡大するとあって、金融機関の加入申し込みキャンペーンで盛り上がっていましたね。1年が経つのは早いものです。
9月末にはマネックス証券がiDeCoサービスを開始。これでネット系証券の大手3社が運営管理機関となり、iDeCoに参入する金融機関もほぼ出揃ったと言われています。
運営管理機関選びのポイントは、「運用商品ラインナップ」「コスト」「サイトの使いやすさ、情報提供などのサービス」。(参考コラム:運営管理機関って、どう選んだらいいの?)
この3つのポイントは、結構みなさん意識してチェックしていると思いますが、60歳以降の受取時まで想定して、運営管理機関選びをしている人は少ないのでは?
実は、わたしもノーチェックでした。なぜかというと、運営管理機関によって受取方法の選択肢が違うって知らなかったから。
加入してから、わたしの運営管理機関であるSBI証券の受取方法を調べたところ、
「年金と一時金の併用できない?年金期間は10年までなの?えーーーーっ!(涙)」
と、ガッカリした次第。
そこで今回は、加入申し込み前にぜひ知っておきたい「受取方法」について解説します。
■iDeCoの受取方法
iDeCo資産の受け取りは、60歳以降70歳(※)までの間の好きなタイミングで請求、開始できます。
受取方法は、「年金(何年かで分割して受け取る方法)」あるいは「一時金(一括で受け取る方法)」もしくは「年金と一時金」の併用です。
※2022年4月より60歳から75歳まで受給開始期間が延長されました
iDeCoナビの情報サービス「よく見られているiDeCo金融機関ランキング」(2017年10月現在)の上位5社をチェックしてみました。ここでは5社だけの比較ですが、多くの金融機関では年金受取期間の最長が20年で、5年以上であれば1年刻みで希望の受取期間を選べます。
たとえば、公的年金の受給開始年齢が65歳なら、60歳から65歳になるまではiDeCoを5年の年金受取としたり、公的年金の繰下げ受給(遅くもらうこと)を考えるなら、受給開始年齢に合わせてiDeCoの年金期間を決めることもあるでしょう。この場合、1年刻みで受取期間を設定できれば資金計画に合わせて柔軟に対応できます。
次に、受取時に関係する税制もチェックしましょう。
■受取方法による税金
掛金や運用益には税金がかからないiDeCoも、積み立てた資金の受取時には税金がかかります。
一定の金額までは税金がかからない「控除」があり、受取時にも税のメリットがあると言われますが、控除額を超えると税金の対象になるので注意が必要です。
年金で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合には「退職所得控除」が適用されます。
どちらも、受取時の課税額を抑えてくれるおトクな税制ですが、退職所得控除も公的年金等控除もiDeCoだけで枠を使えるのではなく、退職金や公的年金と同じ枠で合算して計算しなくてはいけない点が要注意。
ですので、iDeCoの資金を一時金で受け取るのと、年金で受け取るのとでは、どちらが税制面でおトクになるのかは、人によってまちまちです。どのように受け取るのがよいのかは、60歳以降のライフプランに照らし合わせ、専門家と相談して慎重に決めることをおすすめします。
運営管理機関選びの際にちょっと見落としがちな「受取方法」。
将来のライフプランに柔軟に対応できるか、どんな選択肢があるかを、加入申し込み前に是非チェックしてみてくださいね!
★2017年11月10日現在の情報です
(2023年1月24日更新)
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