老齢給付金の受け取り、と聞いて「なんのこと?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
あるいは、言葉の響きから、高齢になったら何かのお金がもらえる、と感じるかも。
耳慣れないかもしれませんが、老齢給付金とは、現役時代にコツコツ積み上げた60歳以降に受け取るiDeCo資産のことです。
SBI証券のiDeCoにおいて、その老齢給付金の受け取り方法が2020年3月請求受付分から変更になります。
変更内容は、以下の通りです。
<変更前>
・「一時金(全額を一括で受け取る方法)」
・「年金(分割して受け取る方法」
のいずれかを選択
<変更後>
・「一時金」
・「年金」
・「併給(一定割合を一時金、残りを年金で受け取る方法)」
のいずれかを選択②年金の受取期間について
<変更前>
・「5年」
・「10年」
のいずれかを指定
<変更後>
・「5年」
・「10年」
・「15年」
・「20年」
のいずれかを指定
(SBI証券iDeCo加入者サイトのお知らせより引用)
やっとSBIもほかの運営管理機関並みになったーーーーー!
これ、わたしのナマの声です。
というのも、そのほかのほとんどの運営管理機関では、一時金と年金の「併給可能」はあたりまえ。
さらに年金の受取期間の最長も20年と、人生100年時代に即した選択肢を用意しているのに、SBI証券は違っていたんです。
使い勝手が悪すぎるーー!
私の場合、それを知ったのが加入後だったのですごくガッカリ。運営管理機関を変更しようかなとまで考えたほどです。
なぜなら、60歳以降にどんな受け取り方をするかによって、老後の資金計画にも税制のおトク度にも大きく影響するからです。
iDeCoの税制のメリットといえば、
・運用益は非課税
・受け取り時には退職所得控除や公的年金等控除が適用
この3つがありますが、所得控除と運用益の非課税はよく知られていても、受け取り時の控除についてはあまり知らないという人が多いかもしれません。
所得控除や運用益の非課税は加入してすぐ実感できますが、受け取りは60歳以降になるため、先過ぎてあまり関心が向かないこともあるでしょう。
でも先ほど触れたように、どう受け取るかは結構大事なお話なんです。
老後の資金計画で、できるだけ長くiDeCo資産を分割して受け取りたいと考えた場合、受け取り期間が最長10年なのか20年なのかでは大きく違いますね。
また併給可能であれば、年金と一時金を組み合わせることで、公的年金等控除と退職所得控除の2つの税制のメリットが受けられます。
公的年金の受給開始が65歳からの世代では、60歳から65歳になるまで公的年金で公的年金控除を使うことは出来ません。
ですがiDeCo資産を年金で受け取れば、公的年金等控除を有効活用できるんです。
たとえば、65歳未満の公的年金等控除は70万円まで非課税なので、60歳から64歳まで毎年70万円の年金で受け取ると、iDeCo資産のうち350万円が非課税に。
そして残りのiDeCo資産を一時金でまとめて受け取ると、退職所得控除が受けられます。
もちろん、これはあくまでも一つの事例ですので参考までに。
実際には、その他の資産や勤め先からの退職金の有無、60歳以降の働き方も含めたトータルな老後の資金計画のなかで、iDeCoの受け取り方を検討しましょう。
とはいえ、所得控除や運用益の非課税など、おトクに資産形成ができるiDeCoだからこそ、将来の受け取り時の選択肢も広く柔軟であってほしいところ。
今回の老齢給付金の受け取り方法の変更は、SBI証券のiDeCo加入者にとって歓迎の変更ですね。
★2019年12月17日現在の情報です
(執筆 冨田仁美)