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マイナス金利解除って?私たちの生活にどんな影響があるの?

2024年3月にマイナス金利が解除されました。ニュースでは大きく取り上げられていますが、私たちの生活にはどのように影響するのでしょうか?マイナス金利とはどんな政策だったのかを確認しながら、考えられる変化を紹介します。

そもそもマイナス金利とは?

マイナス金利とは、銀行等に預け入れた場合の金利がマイナスになる(金利がかかる)政策です。私たち消費者の預金には適用されず、民間銀行が日銀に資金を預け入れる際の、預入金の一部に適用されていました。

マイナス金利政策の目的は、「民間の銀行が日銀にお金を預けるのを嫌がるようにして、その分市場にお金が出回るようにしよう」ということでした。民間の銀行が、お金を日銀に預ける代わりに、企業に貸したり有価証券を購入したりすれば、経済が活性化するからです。

理由はともあれ、預けた方が金利を支払うのですからちょっと異常な政策と感じるでしょう。「そんな政策を行うのは日本くらいでは?」と思われるかもしれませんが、スイスやデンマークでも行われていた政策です。

私たちの預金には適用されないため、お金を預けて減ってしまうなんてことはありませんでしたが、影響はありました。なぜなら、中央銀行(日銀)と民間銀行とのやり取りはさまざまな「金利」を決める基準だからです。たとえばマイナス金利導入後は、私たちの預金金利や住宅ローン金利は超低水準で推移していました。つまり、マイナス金利がさまざまな金利を抑える重石になっていたといえます

どうして解除されたの?

日銀はマイナス金利解除の理由を「物価上昇と賃金向上の好循環が見て取れたため」としています。ウクライナ情勢や中東不安などによって物価が上昇しているのは、多くの方が実感していることと思います。
賃金上昇は勤務先の状況や働き方によっても異なるので一概には言えませんが、2024年の春闘(春季労使交渉闘)では高水準・満額の賃上げの回答が相次ぎました。
これらの材料から日銀は、物価上昇と賃金向上の好循が実現したと判断したのです

生活や金利への影響は

マイナス金利が解除された影響のうち、生活に関わるものをいくつか紹介します。

金利上昇

銀行の預金金利や国債利回りが上昇すると考えられます。三菱UFJ銀行はマイナス金利の解除後すぐに金利を引き上げ、他にも複数の銀行が引き上げを実行しています。

住宅ローン金利

住宅ローン金利も上昇が考えられます。まず、10年国債の利回りを基準に決定されるとされる固定金利はすでに上昇し始めています。
一方、変動金利は短期プライムレートを参考に決定されることが多いです。変動金利に関しては、2024年4月現在で現状を維持している銀行もあれば、引き上げを決定した銀行もあります。ただ、金利が引き上げられた場合も、すぐに実際の返済額に反映されるわけではありません。

これから住宅購入を考えている方は、今よりも少し高めの金利が住宅ローンに適用されることを想定して物件選びを進めていくといいでしょう。すでに変動金利で住宅ローンを返済中の人は、ご利用の住宅ローンの金利状況を注視していきましょう。と同時に対策を検討、実行しておくと安心です。

円の価値

金利が高い通貨は資産運用においても人気であり、高金利通貨に資金が集まります。その意味では円高に振れる可能性もあるはずですが、2024年4月19日現在では1ドルは154円前後で推移しており、円安傾向が継続しています。円がマイナス金利を解除したのに円安傾向が続いている理由として、ドルも上昇基調であることが挙げられるでしょう。円以上にドルの金利が上がれば、金利差は縮まるどころか広がります。為替に関しては、自国の政策だけでなく、相手通貨の状態や国際情勢も関わってきます

多方面の影響を知って生活防衛を

住宅購入を考えている方は、「金利が上がる前に家を購入しよう」と考えるかもしれません。また変動金利の住宅ローンを返済中の方は「返済額が増える前に繰上げ返済をしよう」と考える方もいるでしょう。しかし、日銀は「追加の利上げは急がず」との姿勢です。そのため、対応する前に家計への影響を確認することをおすすめします。

プラス/マイナス双方の影響を踏まえ、バランスよく家計のかじ取りをしていくことが重要です。マイナスの影響は小さく、プラスの影響は大きくなるように調整していきます。

例えば住宅を購入する際は、物価が上昇していることも考慮したうえで物件価格を低めに設定する、変動金利で借りている住宅ローンの繰上げ返済については、余裕資金のうち全部を繰上げ返済に回すのではなく、繰上げ返済分と資産運用分に切り分ける、といった調整が考えられます。また、賃金上昇が見込まれる場合であれば、増えた収入をやりくりしたり、蓄えたりしていきます。

まとめ 慌てず今後の動きを注視しよう

未来のことは分かりませんが、今後少しずつ物価と経済の好循環が回ってくるかもしれません。その際は、物価と金利もさらなる上昇が見込まれます。また、人によっては「賃金上昇」の可能性もあるでしょう。

政策によって経済が動くことを不安に感じる方もいるでしょうが、変化の兆候を察知すれば、悪い変化に備えることや、よい変化を最大化したりすることが可能です。慌てず、まずは情報を得ることから始めます。その際、情報が偏らないよう、複数の媒体から知識を得るなどして、バランスよく情報を集めていきましょう。

★2024年4月15日現在の情報です
(執筆:横山晴美
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