最近、『高校の無償化』が話題になっていますね。「よく耳にするけどどういう制度なの?」「いったい何がかわるの?」と思われている方も多いかもしれません。
教育費の支援制度は、子育て世帯にとって大事な情報です。
この記事では、高校無償化の現在の制度や予定されている変更点、さらには今後の可能性についてわかりやすく解説します。上手に制度を利用するために、ぜひ役立ててくださいね。
高校の無償化制度とは?
高校の無償化制度は、一定の要件を満たす家庭の高校生等(※)に対して、授業料が給付される国の支援制度です。正式名称は「高等学校等就学支援金制度」といい、家庭の教育費負担を軽減するための仕組みになっています。
家庭の経済的な理由で進学の制限がされないよう、意欲あるすべての高校生が安心して勉強できる社会をつくるために定められています。返還不要の授業料支援制度で、日本国内に住んでいる生徒であれば国公私立は問いません。
※ 高等学校、特別支援学校(高等部)、高等専門学校(1~3年生)、専修学校(高等課程)などに通う生徒
現行の無償化制度の概要
現行制度は、国内に住む高校生等という要件に加えて、所得制限があります。家庭の世帯年収が910万円未満(目安)であれば、年額11万8,800円(公立高校の年間授業料相当額)の就学支援金が支給されます。
さらに私立高校に通う場合は、世帯年収590万円未満(目安)という要件を満たせば、支援金が加算されます。私立高校(全日制)の支給上限額は年額39万6,000円です。仮に、授業料が年額39万6,000円(支給上限額)より少ない場合は、授業料と同額の就学支援金の支給になります。
また、都道府県によっては独自の支援制度を行っている自治体もあり、国の制度と併用が可能な場合もあります。
ただし、無償化の対象は授業料のみですので、入学金や制服代、教材費、通学代、部活動費などのような授業料以外の費用は必要です。授業料以外の教育費の負担を軽減するための制度についての詳細は文部科学省HPをご覧ください。
文部科学省「高校生等奨学給付金」:
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1344089.htm
文部科学省「高等学校等就学支援金リーフレット(概要版)」:
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20240319-mxt_kouhou02-5.pdf
2025年度・2026年度からの高校無償化の内容は?
ここからは、変更が予定されている内容を紹介します。
2025年4月スタートの内容(公立高校の全員無償化)
まず、2025年度からは就学支援金の世帯年収910万円未満という所得制限が撤廃される予定です。これまで所得が高いために就学支援金の支給対象外だった世帯も支給対象になります。これにより、国公私立に関係なく、高校生を持つすべての家庭に年額11万8,800円の就学支援金が支給されます。
現在の公立高校の授業料は年額11万8,800円(月額9,900円)です。したがって、公立高校に通う家庭では、授業料が実質的に無償化されることになります。また、私立高校等に通う家庭の場合でも、就学支援金により授業料の一部が軽減されます。
※ 私立高校に通う世帯年収590万円未満の家庭であれば、これまで通り年額39万6,000円(上限額)の支援金が加算されます。
2026年4月スタートの拡充案(私立高校の支援金拡大)
1年後の2026年4月からは、私立高校の支援金についても新しい措置が実施される見込みです。今の拡充案が決定すれば、現行制度の世帯年収590万円未満という所得制限が撤廃され、私立高校に通うすべての生徒が支援金の支給対象となります。
さらに、支援金の上限額が39万6,000円から、私立高校の授業料年額(全国平均)である45万7,000円まで引き上げられる見通しです。これにより、私立高校に通う家庭においても、授業料の負担が大幅に軽減されることが期待できます。
※正式な決定は法案が成立してからとなります。
2025年度に続き2026年度の制度も施行されると、2026年4月からは、世帯収入や進学先(国公私立)に関わらず、ほとんどの家庭で授業料の実質無償化が実現されます。
各都道府県独自の支援制度
国の支援とは別に、独自の支援制度を行っている自治体もあります。例えば、東京都では2024年度から年収を問わず、48万4,000円(都内私立高校平均授業料相当額)を上限に支援を行っています。
その他、自治体ごとにそれぞれの要件を満たす家庭に支援を実施していることがありますので、文部科学省HPや役所HPなどをご覧になって、お住まいの自治体の制度を有効にご活用ください。
高校無償化の未来
授業料の無償化により、経済的な事情に関わらず進学先を自由に選べる子どもが増えることは、たいへん素晴らしいことです。その反面、独自の教育方針を掲げ、施設設備などが充実している私立高校に人気が集中し、公立高校離れを心配する専門家もいます。また、「私立高校の学費があがるのではないか」「受験競争が過熱化するのではないか」といった懸念の声も聞かれます。
今後は、無償化によって進学先の選択肢が広がる子どもたちを受ける入れる学校側の 「教育内容や設備の充実」や「教育の質の向上」への取り組みが求められるでしょう。
近年、教育にかかる費用は増加傾向にあり、家計の大きな負担となっています。経済的な理由から子どもの教育をあきらめたり、子どもを持つことさえも断念したりという家庭も少なくないかもしれません。
就学支援金制度は、家庭の教育費負担を軽減し、経済面を応援する制度です。経済的な不安が和らぐことで、心にもゆとりが生まれます。また、これから子育てを考える人にとっても、安心できる支援のひとつとなるでしょう。
教育や支援に関する制度は変化します。効果的に制度を活用するためにも、常に最新情報のチェックを忘れないでくださいね。
★2025年3月14日現在の情報です
(執筆:世古瑞智子 監修:張替 愛)
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