成長投資枠とは、2024年に始まった新NISA(少額投資非課税制度)において設けられた2つの投資枠のうちの1つです。一定の条件を満たした投資信託等を積み立てることしかできない「つみたて投資枠」とは異なり、投資信託以外にも、国内外の株式(IPO※も含みます)やETFなど多くの商品に、積立でも一括でも投資することができます。つみたて投資枠では取り扱いの少ないアクティブファンドも数多く対象となります。さらに、つみたて投資枠対象商品も購入可能です。
※IPOとは「新規公開株式」のこと
ただし、新NISAがそもそも長期的な資産形成を支援する制度という観点から、以下の商品は投資対象から外されています。
・株式のうち、整理・監理銘柄(上場廃止が決定またはそのおそれがある銘柄)
・信託期間20年未満の投資信託
・毎月分配型の投資信託
・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託(高レバレッジのもの)
成長投資枠では、投資信託やETF、国内外の株式などに対して年間240万円まで投資でき、生涯通じて非課税で運用を続けられます。なお、非課税で投資できる生涯の投資枠は1800万円です。つみたて投資枠と同様に、途中で売却した場合は、簿価ベースで翌年に生涯の投資枠が復活します。
成長投資枠の活用例
投資対象商品も多く、さまざまな活用方法があります。
①つみたて投資枠と同じ投資信託を積み立てる
②つみたて投資枠では買えない投資信託やETFを積み立てる・またはスポット購入する
③個別株式(日本・米国等)をスポット購入する(証券会社によっては積立も可能)
成長投資枠の注意点
同じ新NISAでもつみたて投資枠にはない注意点を理解しておきましょう。
①銀行の新NISA口座「成長投資枠」では個別株は買えません
②株取引には一般的に手数料がかかります。一部のネット証券で無料としているところもあります。
③信託報酬(コスト)が高い投資信託や、リスクが高い投資信託も多く対象に含まれるため、ファンド選びの際は要注意です。
④新NISA口座での運用では「損益通算」や「繰越控除」ができないため、NISA口座内で損失が出ても他の運用益にかかる税金を減らすことはできません。
損益通算とは、課税口座内での運用において、利益と損失を合算して税金を算出できる仕組みです。損失が出た場合に、他の運用商品で得た利益にかかる税金を減らすことができるんですね。繰越控除とは、損失が大きすぎて引き切れなかった時に、翌年以降3年間繰り越して差し引ける制度です。これが新NISAでは使えません。
特に成長投資枠では個別株にスポット投資をすることもあり、大きな損失を被ることも。銘柄選びと売却のタイミングをはかるのは、とても難しいもの。これらの制度が使えないことを知ってから始めましょう。
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