今回は、モーニングスターのホームページで気になった『ノーロード・アクティブファンド増加中!ノーロードの波はアクティブにも波及』の記事についてご紹介します。(記事はコチラから読めます)
「ノーロード」とは、「販売手数料」が「タダ!」の投資信託のこと。
これまでノーロードというと、
インデックスファンドに多かったのですが、アクティブファンドでも近年ノーロードタイプが増えているらしいのです。
過去5年間の推移を見てみると、たしかに増加しています。
2013年95本
2014年96本
2015年108本
2016年136本
2017年157本
(※国内公募追加型株式投信のアクティブファンドのうち、目論見書の購入手数料が無料と設定されているファンドの本数。各年6月時点、モーニングスター調べ)
通常、アクティブファンドの販売手数料は1~3%かかるものが多いので、運用資金が販売手数料で減ることがないノーロードは確かに魅力的。
でも、「販売手数料がかからないなんて、おトク!」と、それだけでファンドの購入を決めてはダメですよ。
なぜなら、投資信託にかかるコストは
①販売手数料(購入時、販売会社に支払うもの)
②信託報酬(ファンド保有期間中、日々、間接的に支払うもの)
③信託財産留保額(解約時に、ファンドの資産に残していくもの)
の3つがあり、ノーロードはこのうち「販売手数料が無料」というだけのもの。
つまり、その他のコストにもちゃんと目配りをしないと、たとえノーロードでも「信託報酬」が高いと、そのファンドを長期保有した場合に「あれれ?」という結果になりかねないのです。
具体的に、国内株式に投資をする2つのアクティブファンドで比較をしてみます。
(どちらも期間中の運用成果はなかったものとし、計算を簡単にするため税金も加味していません。)
購入資金10万円で5年間保有した時のコストの合計は、
販売手数料:10万円×2%=2000円
実際に運用できる資金額:10万円-2000円=98000円
信託報酬: 98000円×信託報酬1%×5年=4900円
5年間のコスト合計:2000円+4900円=6900円・ファンドB:販売手数料なし(ノーロード)、信託報酬1.5%
販売手数料:0円
実際に運用できる資金額:10万円-0円=10万円
信託報酬:10万円×1.5%×5年=7500円
5年間のコスト合計:0円+7500円=7500円
このように、購入時に手数料がかからなくても信託報酬が高ければ、トータルのコストが割高になる場合があります。
一見、販売手数料が2%とゼロでは大きな差、信託報酬の1.5%と1.0%ではちょっとの差、に感じるかもしれません。ですが、販売手数料がファンド購入時の一度だけかかるのに対して、信託報酬は保有期間中ずっとかかるコストです。わずかな差でも時間の経過とともに大きな金額になるので、ファンド選びでコストをチェックするときには、販売手数料だけでなく、むしろ信託報酬に気を配りたいもの。
ところが!
記事によると、近年のノーロードのアクティブファンドは「販売手数料がタダ」だけでなく「信託報酬」も低い傾向にあるみたいです。
2017年6月時点のノーロードのアクティブファンド157本を運用タイプ別に分け、それぞれの信託報酬の平均値と比較すると、約60%のファンドが平均値よりも低く、特に近年運用開始のファンドにより低い傾向があるとのこと。
アクティブファンドは、市場平均よりも高いパフォーマンスを狙いにいくのが魅力である一方で、コストの高さがデメリット。実際の運用成果で多くのアクティブファンドがインデックスファンドを上回れないのは、コストの差、とも言われています。
でも、近年は運用会社や販売会社の努力で、販売手数料や信託報酬の垣根が低くなりつつあるのかもしれませんね。
とはいえ、コストだけが安くても肝心の運用成果が芳しくなければ、本末転倒。ファンド選びの際には運用状況のチェックも大切です。
できれば過去5~10年くらいの運用実績をチェックしたいところですが、ノーロードで信託報酬も低いファンドは近年になって登場しているものが多く、これまでの実績をあまり参考に出来ないケースも。
そんなときは、積み立て投資などで購入タイミングを分ける、購入ファンドを複数に分ける、購入した後はこまめに運用成果をチェックなどして、低コストのアクティブファンドにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
★2017年8月24日現在の情報です