日経新聞にこんな見出しの記事がありました。
「投信分配金、一定の割合で 定率型で資産の目減り抑制」(日本経済新聞 2020/02/01付け)
記事によると、過度な分配金が目立ち、金融庁に資産形成に向かないと指摘されていた「毎月分配型」に代わり、運用損で資産が減れば、分配金を自動的に抑える「定率分配型」の投資信託が増えているそう。
資産を運用しながら、定期的に現金を受け取りたい。
そんなニーズに応える仕組みが多様化して生まれた商品のようです。
あれ?
それって「投信の定期売却サービス」と何が違うの?
そんな風に感じる方も少なくないはず。
前回のコラムで、楽天証券が「投信の定期売却サービス」を開始したとご紹介しました。
「投信の定期受け取りサービス」と「毎月分配型」の投資信託、そして今回取り上げる「定率分配型」投資信託。
これらはすべて、定期的に「受け取りたい」ニーズに応える、という同じ共通点を持った商品やサービスです。
よく似ているので、その違いがわかりにくいですね。
そこで今回は、資産を運用しながら定期的に受け取りたい時に、どの商品やサービスを選ぶとよいかを見ていきたいと思います。
■「毎月分配型」と「定率分配型」の違いは?
「毎月分配型」と「定率分配型」は、どちらも投資信託の商品そのものの仕組み、いわば個々の商品ごとのルールです。
「毎月分配するタイプ」あるいは「定率で分配するタイプ」として作られた商品のことを「毎月分配型」「定率分配型」投資信託と言います。
投資信託の商品としては、かつて「毎月分配型」が主流でした。
安全資産である預貯金の金利低下に伴い、利息の受け取りを楽しみにできなくなるにつれ、元本の保証はないけれど「毎月分配金が受け取れる」投資信託が好まれた、という時代背景があります。
ですが、日経新聞の記事にもあるように、運用効率の観点から「毎月分配型」は資産形成には向かないんです。
なぜなら、運用成果にかかわらず一定額を分配金として払い出すと、資産の一部が分配原資となり、いつの間にか資産そのものが目減りしてしまうこともあるから。
そこで、なるべく資産を取り崩すことなく、定期的に受け取りたいニーズをかなえるため設計されたのが、「定率分配型」投資信託なのです。
「定率」で分配すると、運用成果の良い時は受取額が多く、運用成果が良くない時は少なくなります。
受け取る金額は毎回同じにはなりませんが、運用資産の長寿化が図れると言われています。
■「定率分配型」投資信託と投信の「定期売却サービス」の使い分けは?
「定率分配型」投資信託と、投信の「定期売却サービス」。
今のところ、どちらも資産を運用しながら「定率」で受け取れる点では共通しています。
運用しながらすぐに定率で受け取りたいニーズがあり、運用スタイルやリスクが考えに合った商品内容であれば、「定率分配型」の投資信託の活用も有効です。
でも使い勝手では投信の「定期売却サービス」のほうが断然いいですね。
なぜなら、その投資信託だけに限定されるよりも、どの投資信託にも適応できるサービスのほうが利便性が高いから。
たとえば投信の定期売却サービス」がある楽天証券だと、サービスを適用できるのが「積立可能な投資信託」で約2500銘柄もあります。
また、受け取り開始時期や指定する率を自由に設定し変更もできるので、ライフプランに応じ柔軟な活用ができるのもポイントです。
とはいえ、今のところ投信の「定期売却サービス」を実施しているのは一部の販売会社だけなので、どこでも利用できないのはネック。
サービスを始める販売会社が増えてくれるといいですね!
★2020年3月3日現在の情報です