iDecoは、原則60歳までは資金を引き出すことができません。でも老後のための資産形成であれば、60歳まで資金拘束されている方がしっかり資産形成できるメリットでもありますね。
ところが、そのつもりで積み立てていたのに、自分の意志とは関係なく積み立てが続けられないことがあるとしたらビックリしませんか?
例えば、iDeCoの加入者が海外居住となるケースがそれ。
iDeCoの加入者が海外居住になると、掛け金の拠出ができなくなり運用指図者となることに。(運用指図者とは、積み立てた資産の運用だけを行う人のことです。)
新たな積み立てはできませんが、これまでに積み立てた資産の運用商品を預け替えること(スイッチング)ははいつでも可能です。
では、なぜ海外居住になると新たな拠出ができなくなるのでしょうか。
■iDeCoの加入要件
iDeCoに加入するには、次の条件を満たさないといけません。
・国民年金保険料を払っている(未納や免除、猶予は除く)
・日本国内に居住している
・60歳未満である
つまり国内から住民票を抜いてしまうと非居住者となり、iDeCo加入者としての要件を満たさないことに。そのため新たな積み立てができなくなるのです。
もちろん日本に帰国し再び居住者となれば、積み立てを再開することができます。
(いずれも加入する運営管理機関に必要書類を提出する必要があります。加入者サイトから書類請求するか、コールセンターへ問い合わせましょう。)
■非居住者でも加入者のまま積み立て継続できるケース
SBI証券と楽天証券のコールセンターに問い合わせてみました。すると、
海外に転勤で非居住者となっても引き続き厚生年金の加入対象であれば、これまで通り積み立ての継続が可能です。またその配偶者で第3号加入者の人も同様です。
とのこと。
ちなみに、海外の勤務が5年を超えると原則として日本の年金制度の対象から外れます。
すると厚生年金の加入対象でなくなりiDeCo加入者の資格も失いますので、積み立ての継続はできません。
(日本との社会保障協定が未発効の国での勤務となる場合は、お勤め先に問い合わせてくださいね。社会保障協定についてはコチラを参照ください。)
■60歳以降の受け取りはどうなる?
一時的にでも加入者でない期間があると、60歳以降の資産の受け取りはどうなるのだろうと不安になるかもしれません。でも、その心配はいりません。
運用指図者であった期間も通算加入期間に含まれるので、60歳時点で10年以上の加入期間があれば60歳以降の受け取りが可能です。
もし通算加入期間が10年未満であった場合は、加入期間に応じて受け取り開始年齢が遅くなります。
iDeCoの受け取り方法には「年金」と「一時金」があり、年金として受け取りたい場合は60歳以降70歳になる2日前までに申し出ます。70歳になると年金での受け取りはできなくなり一時金として支給されますのでご注意を。
■運用指図者はどんなコストがかかる?
まずiDeCoにかかるコストをあげると、
・国民年金基金連合会に支払う手数料
・事務委託先に支払う手数料
・運営管理機関に支払う運営管理手数料
・信託報酬(運用商品が投資信託の場合)
このうち国民年金基連合会に都度支払う手数料105円は、加入者が掛け金を拠出する際にかかるコスト。ですので、掛け金の拠出をしない運用指図者にはかかりません。
でもその他のコストは運用指図者もiDeCo口座に資産があるため、加入者と同様にかかります。
つまり、運用指図者の間も運用による資産の増減とは別に、コストの分は資産がジワリと目減りすることに!
新たな拠出はできなくても、これまで積み立てた資産の管理は怠りなく。
最近はグローバル化が進み、長い現役時代の中で国内と海外を行き来するような生活パターンの人も珍しくない時代になりました。
非居住者のうちは新たな積み立てをストップせざるを得ませんが、iDeCoは加入者と運用指図者の使い分けで現役時代を通して老後の資産形成ができる制度です。上手に活用したいですね。
★2020年9月6日現在の情報です
(執筆 冨田 仁美)
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