KDDIとKDDIアセットマネジメントが、2018年10月24日から個人型確定拠出年金サービスの提供を始めました。
『スマホで、ねんきん。ちょっと意外ですか?』
と語りかけるKDDIアセットマネジメントのHP。
iDeCoの加入申込みから、加入後の運用状況の確認や運用商品の見直しまで、未来の年金作りがスマホのアプリでひとまとめに出来ちゃう「気軽さ」がウリのようです。
運用資産額に応じてポイントが貯まるとあって、auユーザーはもちろんのことスマホアプリのおトク情報に敏感な人も「なになに?」と興味を持ちそうなニュースです。
そこで今回のコラムでは「auのiDeCo」サービスについて詳しく見ていきたいと思います。
■サービスの特徴
① iDeCoの年金運用に便利なスマホのアプリ
iDeCoを始める前にアプリ上で月々の積み立て額から節税額をシミュレーションし、将来の運用目標の確認ができるサービスがあり、「加入申込み」だけはアプリで簡単にできちゃいます。
でも要注意!実際に加入するのに必要な手続きは、「紙」ベースです。後日送られてくる必要な書類に
必要事項を記載し書類を提出しないといけません。iDeCo加入に必要な申込み手続きは、スマホだけで完了しないことを覚えておきましょう。
とはいえ、加入手続きのステータスはアプリで情報提供されますので、申し込みしたあとの状況確認ができ便利です。
また、積み立て開始後の運用状況はもちろんのこと、運用商品の見直しのシミュレーションもアプリで簡単に確認でき、運用スタイルの変更を検討する際に役立ちそうです。
② 運営管理手数料がゼロ
iDeCoには「国民年金基金連合会と信託銀行に支払う手数料」「運営管理手数料」「信託報酬」というコスト(手数料)があります。
(参考コラム:運営管理機関って、どう選んだらいいの?)
「auのiDeCo」は、そのうち「運営管理手数料」が誰でも無条件で「ゼロ」。運営管理手数料はiDeCo加入期間中ずっとかかるコストなので0円はありがたいですね。
(国民年金基金連合会に払う手数料はかかるため、月額167円はかかります)
③ 運用商品ラインナップ
資産運用が初めての人でも迷わず選べるようシンプルに5つのタイプに絞り、ラインナップは定期預金1本と投資信託4本の全5本と少なめ。
4本の投資信託は、いずれもKDDIアセットマネジメントが運用する「バランスファンド」です。
ファンド名 | 資産配分比率 | 運用タイプ | 信託報酬率/年 (実質負担率/年) |
auスマート・ベーシック(安定)
| 国内株式15%、国内債券65%、先進国株式5%、先進国債券15% | インデックス | 0.2376% (0.378%) |
auスマート・ベーシック(安定成長)
| 国内株式20%、国内債券50%、先進国株式10%、先進国債券10%、新興国株式5%、新興国債券5% | インデックス | 0.2376% (0.378%) |
auスマート・ベーシック(成長)
| 国内株式25%、国内債券35%、海外株式(新興国株式含む)20%、海外債券(新興国債券含む)20%を基本とし、上下10%の範囲内で配分比率を調整 | アクティブ | 0.8856% (1.17288% ~1.41993%) |
auスマート・ベーシック(高成長)
| 国内株式30%、国内債券20%、海外株式(新興国株式含む)35%、海外債券(新興国債券含む)15%を基本とし、上下10%の範囲内で配分比率を調整 | アクティブ | 0.8856% (1.31409% ~1.56141%) |
資産配分が少しずつ異なったバランスファンドは、運用ニーズのニュアンスでも選べるようになっています。
たとえば、
・コツコツお金を増やしたい「auスマート・ベーシック(安定)」
・リスクとリターンのバランスが大事「auスマート・ベーシック(安定成長)」
・お金を守るより増やすことを優先したい「auスマート・ベーシック(成長)」
・減るリスクは覚悟のうえでお金を増やしたい「auスマート・ベーシック(高成長)」
といった具合です。
④ 投資信託ポイントプログラム
運用しながらポイントをゲットできる、投資信託ポイントプログラムが採用されています。
投資信託で運用している金額に応じ、auユーザーには「WALLETポイント」、auユーザー以外には「Wow!スーパーポイント」がもらえます。
ただし、ポイントはもらえると嬉しいので、「ポイントが付いている」というだけで選択しがちですが、実際のポイント還元率は要チェックですよ。
(ポイントプログラムについて詳しくは、コチラ)
■運用商品ラインナップの「ファンドオブファンズ」はコストに注意
運営管理手数料が0円や運用資産額に応じたポイントの還元など嬉しい特典もありますが、ちょっと気になることが。
それはラインナップされている投資信託の運用スタイル。
4本の投資信託はすべて「ファンドオブファンズ」で運用されています。
ファンドオブファンズとは、ファンドの運用先として直接株式や債券に投資するのではなく、投資信託に投資するというもの。
分散投資されている投資信託に投資することで、さらに分散ができるというメリットもありますが一方で二重にコストがかかってしまうデメリットも。
先ほどの一覧表にある「信託報酬率(実質負担率)」がそれ。
たとえば、auスマート・ベーシック(安定)と運用スタイルでほぼ同じ資産配分のファンドでコストを比べてみると、
ファンド名 | ファンド方式 | 信託報酬率(実質負担率) |
auスマート・ベーシック(安定) | ファンドオブファンズ | 年0.2376%(年0.378%) |
DCインデックスバランス(株式20) | ファミリーファンド | 年0.18%(年0.18%) |
ファンドオブファンズは、別の運用会社のファンドに投資するスタイルなので二重にコストがかかり実質の負担率は高くなる傾向にあります。
一方で、ファミリーファンドは同じ運用会社のファンドを組み入れるので、二重にコストがかかることはありません。
ファンドオブファンズとファミリーファンド。少し難しい仕組みですが、運用方式の違いによるコストに注意が必要であることは覚えておきましょう。
■まとめ
興味はあっても銀行や証券会社など金融機関に敷居の高さを感じてしまう人に、「auのiDeCo」は将来の年金づくりの身近な存在になりそうです。
KDDIをはじめiDeCoの運営管理機関は、長期にわたって付き合っていく年金準備の大切なパートナー。
商品ラインナップやコストなどサービス内容全体をじっくりチェックして、最適な運営管理機関を選びましょう。
★2018年11月11日現在の情報です