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知らないと損する!?2022年10月から育休中の社会保険料免除の基準が変わります!

健康保険法の改正によって、2022年10月から、育児休業期間中(以下、育休中)の社会保険料が免除になる基準が変わります。改正後は、月末に復職していても、その月の社会保険料が免除となる可能性があるのです。どう変わるか知らないと損してしまうかも!?

今回は、育休中の社会保険料の免除の条件について、2022年10月以降どのような変更があるのか、具体例を上げながら紹介します!

そもそも社会保険料ってどんなもの?

社会保険料とは、生活が困難になる事故や出来事(病気やけが、出産、死亡、老齢、障害、失業)が起こったときにお金を受け取ることができる「社会保険」にかかる保険料のことです。加入者である私たちが毎月保険料を出し合い、実際に給付が必要となった人に対して、お金が給付される仕組みです。

サラリーマンの場合、厚生年金保険料や健康保険料を会社経由で支払っているため、自分がいくら払っているか、わからない方も多いかもしれません。ぜひ知っておくと良いでしょう。

厚生年金保険料と健康保険料を合わせると、標準報酬の28.11%(※)を労使折半で支払う必要があります。つまり自己で負担するのは半分の14.055%です。たとえば、額面30万円の給与をもらっている人であれば、厚生年金保険料と健康保険料を合わせて、約4万5,000円。

社会保険料はおおよそ15%かかると理解しておきましょう(40歳以上は介護保険料がさらに2%近くかかります)。
(※)40歳未満/協会けんぽ/東京/令和4年度の場合

育休中の社会保険料ってどうなるの?

出産した後、原則1歳になるまで会社をお休みできる育休中って、社会保険料の支払いはどうなるのでしょうか?

満3歳未満の子を養育するための育休中、健康保険・厚生年金の社会保険料の支払いは従業員、会社ともに免除されています。そして、免除されている期間についても、保険料を払ったとして取り扱われますので、将来の年金額が大きく減ることにはなりません

この免除について、対象になる期間の判定基準が2022年10月より変更になります。改正前と改正後で比較すると以下の通りです。

改正前(2022年9月末まで)】

・月末時点に育休中であれば、その月の社会保険料が免除される
・賞与の支給月であれば、月末時点で育休中の場合、賞与から控除される社会保険料も免除される

【改正後(2022年10月以降)】

・月末時点に育休中であれば、その月の社会保険料が免除される
月末は復職していても、月内に14日以上の育休を取得していれば、その月の保険料は免除される(ただし、育休開始日と終了日が同じ月の場合に限る)
・賞与の社会保険料は、その月の育休が1ヶ月以下の場合は、賞与の社会保険料は免除されない

改正前も改正後も、月末時点で育休中である場合の取り扱いは変わりませんが、月内に14日以上育休を取得した場合も免除の対象となったり、賞与の社会保険料が免除になる条件が厳しくなったりと、不平等感が少なくなるような改正が行われます。

2022年10月からどう変わるの?

では、実際にいくつかの例をあげてみましょう。賞与が6月に支給される場合で解説しています。
この場合、5月、6月、7月すべてについて、月末時点で育休中であるため、給与にかかる社会保険料は3ヶ月とも免除となります。また、6月の賞与にかかる社会保険料についても免除となります。

このケースでは、育休はたった1日ですが、改正前は6月分の給与と賞与の社会保険料が免除されていました。しかし改正によって、賞与にかかる社会保険料は免除されなくなります

6月末に復職をしているこのケースでは、改正前は給与も賞与についても、社会保険料は免除となりませんでした。しかし、育休の本来の目的と違う、特定の日に社員の休暇が偏っているということが問題視され、1ヶ月に14日以上育休を取得しているこのケースのような場合は、社会保険料の免除の対象となるように改正されたのです。しかし賞与については、育休が1ヶ月以下であるため、社会保険料は免除されませんこのケースでは、5月末日が育休中であるため、5月の給与にかかる社会保険料については改正前も改正後も免除となりますが、末日に復職している6月については免除となりません1ヶ月に14日以上育休取得していても、育休開始日と終了日が同じ月でないと、免除にならないからです。このケースでは、④と比べて、育休を取得している日数はたった2日しか違わないにもかかわらず、6月の給与と賞与についてどちらも社会保険料が免除となっており、大きく変わっています。一体どのくらい、手取額に影響があるのでしょうか。

【改正後の④の場合】
給与:額面 30万円 (うち社会保険料4.5万円)
賞与:額面 70万円 (うち社会保険料10.5万円)
5月の給与分の社会保険料4.5万円のみ免除されます

【改正後の⑤の場合】
給与:額面 30万円 (うち社会保険料4.5万円)
賞与:額面 70万円 (うち社会保険料10.5万円)
給与分の4.5万円×2ヶ月と賞与分の10.5万円を合わせて社会保険料19.5万円の免除となります。たった2日で大きな違いがあることがわかります。

まとめ~制度を知って損しないように!~

いかがだったでしょうか?このように2022年10月の改正後も育休取得のタイミングによって社会保険料が免除されるか、されないかが大きく変わってきます。

育児休業は各家庭での必要性・状況に応じて取得を検討されると思いますが、数日の差で「知らなくて損をした!」ということがないよう、この制度の内容と改正された点をしっかりと理解しておくとよいでしょう

★2022年7月15日現在の情報です
(執筆:渡部 ナオコ

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