前回は、上手にお金を使えるようになるためには、「必要な物(ニーズ)と欲しい物(ウォンツ)を意識する」「優先順位を考える」ことが大切とお伝えし、2つのおすすめお買い物トレーニングをご紹介しました。
今回は、前回のお話を踏まえ、実際のお買い物を想定した「上手にお金を使えるスキルの育て方」についてお伝えします。
上手にお買い物をするための4つのスキル
上手にお買い物をするためには、物には値段があるという知識や買い物の手順など、必要となる4つのスキルがあります。
実際の経験がお金を使う力を育てます。お子さまの成長に合わせ、挑戦しやすいトレーニングから試してみてください。
スキル①:物には値段があることを知る
物には値段があると知ることは、金銭感覚を養う上での大切な第一歩です。
親がお金を出している間は、値段も見ずに「見た目が可愛いから」などの理由で、買い物かごにポンポンと商品を入れてきませんか?
しかし、いざ自分のお小遣いで買うとなると、目の色が変わり、値段を気にするようになります。
<おすすめトレーニング>
売り場で、買いたい物の値段を確認しましょう。
自分の欲しい物であれば真剣に確認するので「このお菓子は、だいたいこれくらいかな」といった感覚もつかみやすくなります。
慣れてきたら、いつも買う野菜や卵など、値段を確認する範囲を広げていきましょう。「トマトの値段を見てきて!」とお願いするのもいいですよ。
2021年4月から税込み価格表示が義務化され、実際に支払う金額を確認しやすくなりました。しかし、お店によっては税抜き価格が大きく書かれていることがあります。その場合は、値札のどこを見たら良いか教えてあげてください。
スキル②:買い物の優先順位がつけられる
限られたお金で買い物をするためには「買い物の優先順位がつけられる」スキルも必要です。
<おすすめトレーニング>
たとえば、100円で「勉強に必要な鉛筆と、好きなお菓子を買う」という条件で買い物に行き、商品を選びます。
「必要な物と欲しい物」をどちらも買えるような金額設定が良いでしょう。どの商品の優先順位が高いのかを意識し、必要な物から先に買っていけるとよいですね。
慣れてきたら、金額や買う物の数を増やしたり、おつかいとして「予算内でカレーの材料を買ってきてね」といったお題を用意するのもおすすめです。楽しく考えながらお買い物ができるのでよいですよ。
お金を使う時に、買う目的と理由を確認しながら、優先順位を意識して予算内で買い物ができるスキルはやりくり上手にも繋がります。
スキル③:お買い物メモを作れる
お買い物メモを作れると、買い忘れを防ぐだけでなく、衝動買い防止にもなります。
<おすすめトレーニング>
買い物前に「お買い物メモ」を作ります。買いたいものが複数ある場合は、優先順位をつけましょう。そのメモを子どもに託し、商品選びを任せます。
売り場に行くと、メモに沿って黙々と商品選びをする子もいれば、メモに書いていない商品が欲しくなる子もいます。買い物は常に選択の連続です。
当初予定していなかった物を選んでも大丈夫です。その結果、こっちの商品を選んで良かったな、ということもありますし、衝動買いだったな、無駄づかいだったな、と気づくこともあります。どちらも大きな学びに繋がります。
しかし、衝動買いばかりしていると、必要な物を買えないこともあります。それを防ぐためにもお買い物メモを作ることで、買い物上手に近づけるのです。
スキル④:会計ができる
会計ができることは、買い物をするうえでの必須スキルです。
<おすすめトレーニング>
自分のお小遣いで買い物をする時はもちろんですが、簡単なおつかいを頼んで、レジでお金を支払う練習をしましょう。商品は1~2個ぐらいで、硬貨のみの少額から始めるとよいですよ。
会計をするためには、お金の名前や種類を覚えることが必要です。
実際の買い物を通して、本物のお金に触れる機会をつくり、硬貨を組み合わせた支払い方や、会計の仕方を覚えていくと、「お買い物できた!」と自信がつきます。
小さいお子様ほど、最初は心細いと思いますので、そばについて見守ってあげてください。
反省会でふりかえりを
お買い物のあとは反省会を開き、必要な物、欲しい物を優先順位を意識して買うことができたか、お小遣いを使って買ってよかったか、などをふりかえりましょう。
以前ご紹介したお小遣い帳を使うと、ふりかえりがしやすくなります。ふりかえりを次の買い物に活かすことで、上手にお金を使えるようになっていきます。
親は辛抱強く見守って
子どもの買い物をそばで見ていると、ついつい口出しをしたくなることがあります。たとえば、手持ちのお金よりも高額な商品を選ぶことがあっても、ぐっと我慢です。レジに商品を持って行き、お金が足りなければ、手持ちのお金を意識して買い物しなければいけないことを経験から学べます。
筆者自身、心の声が漏れてしまい、娘の買い物意欲を削いでしまったことがあります。辛抱強く見守ってあげてくださいね。
スキルを身に付け、自分のお小遣いで買い物が成功すれば自信につながります。たとえ、小さな失敗をしても、親子だからフォローすることができます。
筆者の娘は、売り場での値札チェックを楽しんだり、買い物メモを準備して真剣に商品選びをしています。また、会計にも慣れてきたので、買い物にも意欲的になってきました。
ぜひ、お小遣いを使う以外のお買い物でも、お子様を巻き込んでスキルアップのトレーニングを試してみてください。
次回は、お金の貯め方についてお伝えする予定です。お楽しみに!
★2021年7月29日現在の情報です
(執筆:原田幸子)
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※連載【お小遣いで育てる子どもの未来】全22話はこちらからどうぞ。
第1話:FP原田幸子の3歳の娘とはじめた「お小遣い」
第2話:0歳から始められるお金の教育
第3話:お小遣いは、いつから始める?定額制?それとも報酬制?
第4話:子どものお小遣い、定額制であげるなら、いくらがいいの?
第5話:お小遣いの金額、報酬制の場合は、どう決める?わが家の事例紹介
第6話:親子で話し合う「お小遣い会議」のススメ
第7話:お小遣いの約束を「お小遣い契約書」にまとめよう
第8話:「お小遣い帳」をつけてお金の流れを確認しよう
第9話:小さい子どもがお小遣い帳以外でできる、お金の管理法
第10話:やりくり力が育つ魔法の貯金箱、作ってみませんか?
第11話:上手にお金を使えるようになる「お買い物」トレーニングのすすめ
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