自分のためだけでなく、人のためにお金を使うことも嬉しいと感じる。そんな心豊かな子どもを育てるのに、お小遣いはとてもよい機会になります。
「人のために使うお金」の大切さを知る経験を積めば、将来、援助や感謝に気持ちよくお金が使える大人になることでしょう。
今回は、子どもが「人のためにお金を使える人」に育つポイントをお伝えします。
<目次>
「人のために使うお金」とは
「人のために使うお金」とは、自分以外の誰かのために使いたい、役に立ちたい、と思って使うお金のこと。
たとえば、災害や困難などで支援を必要としている人や団体への寄付や募金、大切な家族や友達にするプレゼントなどがあげられます。
なぜ「人のためにお金を使える人になること」が大事なの?
私たちの社会は、たくさんの人の支え合い、助け合いで成り立っています。
私たちが、社会や誰かのために、役立てる方法のひとつに「人のためにお金を使うこと」があります。
寄付や募金は、困っている人を助ける社会の仕組みです。1人の力は小さくても、たくさんの人の思いが集まると、大きな支援になります。子ども自身が「自分も助け合う社会の大事な一員なんだ」という自覚を持てるキッカケになるのではないでしょうか。
また、子どもにとって一番身近な社会は、家族です。
いつも支えてくれている家族への「ありがとう」の気持ちを、自分のお金でする「プレゼント」でも表現できます。
感謝の気持ちや、助け合いの気持ちを表すときに、抵抗なくお金を使うことができる心を持てる大人に育って欲しいものです。
人のためにお金を使えるようになる、今すぐしたい3つのこと
どんなことをすれば人のためにお金を使えるのか家族で話題にする
日本はもちろん、世界には、災害や貧困など社会が抱える様々な困難や課題があります。近くで起こっていることであれば、かけつけて支援できるかもしれませんが、遠く離れた場所だとアクションを取ることはなかなか難しいです。そんな場合も、寄付や募金であれば支援ができます。
街頭募金を呼び掛けている人や、街中で見かける募金箱に、「何をしているんだろう?」「どうしてここにお金がいっぱい入っているんだろう?」と、子どもは疑問に思っているかもしれません。
募金箱を見かけたら「どんなことに使われるお金なのか、お金がたくさん集まるとどんないいことがあると思うか」など親子で話をしてみましょう。
ニュースや新聞記事を見ながら「何が起こっているのか、自分にできることはないか」親子で一緒に考えてみるのもよいですね。
また、お金を使う以外の方法でも誰かの役に立つことを考えることも大切です。
たとえば、自分の着ていた洋服や読み終わった絵本など、古着や古本のリユースもその一つです。お金や物の循環を通して、どんなことをすると人のためになるのか、と考えることは視野を広げることにもつながります。
「喜ばせる」という貯金箱を使わせる
困っている人の役に立ちたい、大好きな家族にプレゼントをしたい、と思っても、急にお金を用立てることは難しいものです。
いつでも誰かを喜ばせられるよう、お小遣いをもらったら、先取貯蓄の考え方で「人のために使うお金」専用の貯金箱に入れていく習慣をつくりましょう。
専用の貯金箱があれば、いざ使いたいと思った時に、お金がないと困ることもなく、気持ちよく誰かのために使うことができます。
募金やプレゼントで「うれしい」を体験する
自分のお金が人のために役立てば「きっと喜んでくれるだろう」とワクワク想像したり、「喜んでくれてうれしいな」といった経験の積み重ねが、なにより大切です。
学校や地域からの募金依頼や、街頭募金などで、子ども自身が 「やりたい」と思ったなら、お小遣いからいくらか出してみるように提案してみましょう。
人と人とのやり取りがある街頭募金では、「ありがとうございます」という言葉が返ってきます。「ありがとう」という言葉は、自分も誰かの役に立つことができた、という証になり「うれしい」体験として子どもの心に強く残るでしょう。
また、寄付や募金の機会がない場合には、自分のお小遣いで大好きな家族のプレゼントを買う体験がおすすめです。
わが家の4歳の娘が、父の日のプレゼントとして、初めて「人のために使うお金」を使った時のことをご紹介します。
筆者とお金を出し合う条件で、娘がお小遣いで貯めてきた「人のために使うお金」の一部から出せる金額を決め、財布にお金を入れて出かけました。
「お父さん、喜んでくれるかな」とワクワクドキドキしながら、花屋を3軒まわり、値段と花の状態を比べ、「このお花をお父さんに渡したい!」と1輪のヒマワリを選びました。
プレゼントを渡した時、お父さんがとても喜んで「ありがとう」と言ってくれたことで、娘自身も「うれしい」気持ちになり、幸せそうな笑顔を見せてくれました。
「人のために使うお金」貯金、いつから、どう始めるとよい?
これからお小遣いをはじめるなら、最初から「人のために使うお金」専用の貯金箱を準備するとよいでしょう。
一方で、すでにお小遣いをはじめていて、これから「人のために使うお金」も貯めていく場合は、少し注意が必要です。それまで自分で好きにお小遣いを使えていたのが、自由を奪われた、と感じてしまうこともあるからです。
もし、抵抗感を持っているようであれば、寄付や募金よりも、身近な家族へのプレゼントを自分のお小遣いで買ってみることからはじめてみましょう。
大好きな家族を喜ばせたいと思ったり、「ありがとう」というお礼の言葉でうれしくなる経験を積み重ねていくうち、ほかの誰かの喜ぶ顔も見たい!と少しずつ視野が広がっていくことでしょう。
「誰かの役に立ちたい」という気持ちは、将来の仕事選びや、新しいサービスや価値を創り出すことにもつながっていきます。お小遣いを通して、豊かな心を育んで欲しいと思います。
次回は、トラブルを招きかねない「お金を借りる」についてお伝えする予定です。お楽しみに!
★2021年8月26日現在の情報です
(執筆:原田幸子)
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※連載【お小遣いで育てる子どもの未来】全22話はこちらからどうぞ。
第1話:FP原田幸子の3歳の娘とはじめた「お小遣い」
第2話:0歳から始められるお金の教育
第3話:お小遣いは、いつから始める?定額制?それとも報酬制?
第4話:子どものお小遣い、定額制であげるなら、いくらがいいの?
第5話:お小遣いの金額、報酬制の場合は、どう決める?わが家の事例紹介
第6話:親子で話し合う「お小遣い会議」のススメ
第7話:お小遣いの約束を「お小遣い契約書」にまとめよう
第8話:「お小遣い帳」をつけてお金の流れを確認しよう
第9話:小さい子どもがお小遣い帳以外でできる、お金の管理法
第10話:やりくり力が育つ魔法の貯金箱、作ってみませんか?
第11話:上手にお金を使えるようになる「お買い物」トレーニングのすすめ
第12話:実践「お買い物体験」でトレーニング
第13話:ワクワク未来のために「お金を貯める力」を育む
第14話:「人のために使うお金」で豊かな心を育む
第15話:安易に「お金を借りる」を選ばないために~教えたい3つのこと~
第16話:自分でお金を払ってみたくなる!3つの練習法とは
第17話:親子でキャッシュレス体験をしてみよう
第18話:小学生になったら交通系ICカードでキャッシュレスのお勉強
第19話:お小遣いをキャッシュレスにするなら、親子でルールを決めよう
第20話:親子で防ぐゲーム課金トラブル
第21話:お年玉はお金の使い方を学ぶ絶好のチャンス!
第22話:5歳児のお小遣い、1年の成長を振り返る
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