スマホやタブレット、家庭用ゲーム機をポチっとしただけでお金が無くなる、ウン十万円のクレジットカード請求額を見て不正利用を疑ったら子どもだったなど、ゲーム課金をめぐるトラブルが増えています。
今回は、安心してゲームを楽しむためにも、親子でゲーム課金トラブルを防ぐ方法についてお伝えします。
<目次>
ゲーム課金をめぐるトラブルが増えている
ゲーム課金トラブルの現状
2021年8月の国民生活センターの発表によると、2020年度のオンラインゲームに関する相談件数は3723件と、前年度の約1.5倍で過去最高となっています。在宅時間が増え、家庭でゲームをして過ごす中でのトラブルが多くなり、とりわけ小学生の割合が半数近くを占めています。
そもそもゲーム課金って何?
オンラインゲームは、スマホやゲーム機から無料でアプリやソフトをダウンロードできるものも多く、簡単にゲームを楽しめるので子どもにも人気があります。
ゲームをより楽しむためのアイテムやコインを有料で買うことができ、このことを「ゲーム課金」と言います。
トラブルの原因
トラブルの原因の1つは、ゲームをしている子ども自身に課金をしている認識がないことです。子どもにとってはアイテム欲しさに、案内に従ってポチッとしただけなのです。
実際には、クレジットカード決済や携帯電話料金に紐づけられるキャリア決済など、お金は目に見えないところで払われています。しかし、自分の財布からお金が減っていかないので、お金を使った実感がわかず、少額の課金を繰り返してしまいます。
また、スマホなどの端末管理の不十分さもトラブルの原因になっています。親の端末を使わせている場合には、アカウントやクレジットカードの管理、決済認証設定が甘いなど、対策が不十分なためにトラブルが起きているケースもあります。
ゲーム課金トラブルはどう対策する?
親子で一緒にルールを決める
トラブルを防ぐために、まずは課金の仕組みを親子で一緒に確認することが大事です。
そのうえで、家庭内のゲーム課金に関するルールを決めましょう。
たとえば、次のようなルールです。
・人の端末で許可なく遊ばない
・勝手に課金しない
・友達の端末は借りない(理由:勝手に課金してしまったなどのトラブルを招きかねない)
・課金上限額を決める(例:各回いくらまで、月いくらまで)
・課金のお金を誰が払うかを決める(例:自分のお小遣いの範囲内)
・課金の決済方法を決める(例:課金やネットショッピングで使えるプリペイドカードを使う)
など。
また日頃から、親子間でのお金のコミュニケーションを良好にしておくと、トラブルが起きた時でも早めに対応できます。
スマホの設定と管理をする
ゲーム課金を防ぐためには、スマホやゲーム機の端末管理の徹底が不可欠です。
【同じアカウント(親の端末など)を使う場合】
親と同じアカウントや端末を使う場合には、特に注意が必要です。
皆さんのスマホには、サブスクやネットショッピングの決済方法として、クレジットカード情報が保存されていませんか。
この場合、子どもがゲーム中に新しいアイテムが欲しくなった時、既に登録されているクレジットカードで簡単に決済してしまう可能性が高いです。
・端末に保存されているクレジットカード情報を削除する
・自由に課金できない設定にする
・決済時に都度パスワードを入力する設定にする
・子どもにパスワードを教えない
・定期的にパスワードを更新する
【子どものアカウント(端末)がある場合】
子どもが自分のスマホを持っている場合、または親のスマホに子ども用アカウントを作っている場合は、親が子どもの利用を制限できる「ペアレンタルコントロール」などの見守り機能を使いましょう。
・勝手にアプリをダウンロードできないように設定する
・ゲームをダウンロードすると親に通知が届く
・買い物する時は、親の承認が必要な設定にする※設定方法の詳細は、端末のWebサイトで確認ください。
楽しく遊ぶためにも、端末の設定と管理を徹底しましょう。ルールを守りながら、子ども自身が自分でコントロールできる心を育んでいけるとよいですね。
もしもの時の対応方法と各社の対応
もしものトラブルに備え、端末やクレジットカードの明細で、定期的に課金履歴を確認するようにしましょう。
最寄りの消費生活センターに相談
思わぬ高額課金を発見し、どのように対応したらよいか分からない時は、最寄りの消費生活センターなどへ相談しましょう。
また、国民生活センターのWebサイトにも、ゲーム課金トラブルの事例や対応方法が紹介されていますので参考にしてみてください。
未成年であれば親が取り消せる場合もある
未成年者が親の承諾なく勝手にゲーム課金をした場合、ゲーム提供会社など請求元に事情を説明し、認められれば取り消せる場合もあります。 子どもは、大人と比べ知識や経験が不足しており、判断する力が十分ではないからです。
しかし、年齢確認画面で「20歳以上」と成人であると偽ったり、親のアカウントで課金している場合は、子どもが課金したものと判断が難しく、必ずしも取り消しや返金がされるとは限らないので注意が必要です。
ちなみに、2022年度からは18歳で成人となります。成人になって結んだ契約は、取り消すことが難しくなります。特に、高校生がいるご家庭では、身近なゲーム課金や有料アプリの購入など、オンラインショッピングなどの契約についても確認をしておくと良いですね。
わが家のネット利用対策
わが家はゲームをしないのですが、親のスマホやタブレットで動画を観たり、音楽を聴いたりします。その際は、許可なく親の端末を使うことを禁止しています。
時折、親子でネットショッピングをしていると、娘が画面に現れる決済ボタンを押したがります。ボタンを押したい!という好奇心からの行動だと思います。しかし、気軽に買い物できると勘違いさせないよう、決済ボタンを押す前に、本当に必要な買い物かを一緒に確認し、お金をどういう形で払っているのか説明するよう心がけています。
次回は、子どものお金の学びにも繋がるお年玉についてお伝えする予定です。お楽しみに!
★2021年11月22日現在の情報です
(執筆:原田幸子)
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※連載【お小遣いで育てる子どもの未来】全22話はこちらからどうぞ。
第1話:FP原田幸子の3歳の娘とはじめた「お小遣い」
第2話:0歳から始められるお金の教育
第3話:お小遣いは、いつから始める?定額制?それとも報酬制?
第4話:子どものお小遣い、定額制であげるなら、いくらがいいの?
第5話:お小遣いの金額、報酬制の場合は、どう決める?わが家の事例紹介
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