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第1話 「知ること」から始まるお金の学び 【マネー教育最先端のイギリスに住んでわかった「日本に足りないお金の教育」 】


みなさん、こんにちは。みらい倶楽部FPでイギリス在住の原田幸子です。

イギリスで3回目の春を迎えています。
この2年間は、世界的に物価高が続きました。ここイギリスでも、2022年10月にはなんと、物価が11.1%(前年比)も上昇したんですよ。
また、急激なインフレに賃金が追いつかず、ストライキや抗議デモが頻発しました。バスや地下鉄といった公共交通機関だけでなく、教職員組合のストにより娘が通う現地の公立小学校も休校になりました。
しかし、中央銀行による金利引上げなどの対策もあり、最新のインフレ率は3.4%まで低下し、今年中には2.0%の目標に近づく見込みです。

この激動の2年間をイギリスで過ごしながら、困難な状況に立ち向かうためにもマネーリテラシーの重要性を痛感しています。と同時に、日本でのマネー教育の不足も感じています。そこで、コラムを通して、マネー教育最先端のイギリスの取り組みから、日本におけるマネー教育に必要な視点を考えていきたいと思います。

「お金の教育」は難しそうと敬遠されがちですが、このコラムでは、まずは何から始めればよいか、私自身の体験を交えながら紹介していきます。

慣れない外国暮らしは大人だって不安だらけ!渡英直後の「お金事情」

「硬貨の区別がつかない!」
「物の相場が掴めない!」
「買い物のスタンダードがわからない!」
これ全部、子どもじゃなくて、渡英直後の私でした。

経験上、
・ イギリスのお金があれば、モノを買ったりサービスを利用できる 【お金の役割「交換」、流通通貨の概念】
・ 何度か買い物を繰り返していたら、慣れてくる(はず)【経験の蓄積と習慣化】
ということはわかっています。

待ったなしの状況の中で、「習うより慣れろ!」ということで、実践を重ねました。しかし、便利なカード払いに頼りきっているため、いつまで経っても現金の判別はできないし、買いすぎていないか、そもそもカード決済の安全性は大丈夫なのか?など、心配事が尽きませんでした。

特に、お金に関する事情は、文化や習慣によって日本とは大きく異なる場合があります。その不安を克服するために、買い物の際には、周囲をよく観察したり、物の値段を確かめたり、疑問点を調べながら、少しずつ「知っていること」を増やしていきましたそうすることで、イギリスでの買い物に自信を持つことができるようになりました。

大袈裟かもしれませんが、渡英直後は、生活する(Live)より生き抜く(Survive)ことに必死だったな、と感じています

「知る」ことから始まるイギリス式マネー教育

イギリスでは、国主導でマネー教育に取り組んでいます。現在だけでなく将来の経済的な幸福度を高めるために、大人はもちろんのこと、特に子どもや若者へのマネー教育の機会を充実させることを目標に、国家戦略の柱の一つとして位置付けられています。

例えば、幼少期の3〜5歳という早い段階から、「お金って何?」という基本的なことから学ぶことを推奨しています。
学校教育でも、義務教育が始まる5歳から、硬貨や紙幣をよく見たり、実際に触ったりして特徴を観察します。そして、お金には種類があり、それぞれのお金が持つ価値が違うことを「知る」ことから始めます。

年齢や発達に合わせて、段階的にお金に関する知識を増やしていくことで、「お金に対する自信」を築くための土台を作っていきます

「お金に対する自信」を育てるために、今からできること

イギリスの調査によると、有意義なマネー教育を受けると「お金」に関する不安が減り、自分の知っているテーマや、金銭管理に自信を持つ傾向があることが報告されています。特に、学校と家庭の両方でマネー教育を受けていると、その効果がより高いこともわかっています。(※)

子どもの「お金に対する自信」を育てるためには、まずは何も知らない「0」の状態から、基礎的な知識を身につけて「1」の状態にすることが重要です。

そのために家庭では、子どもの年齢や発達に合わせて積極的に「お金」に関する会話をすることをおすすめします。親子でたくさん話をすることで、子どもたちが新しいことを「知る」きっかけになります。

たとえば、0歳から5歳くらいの子どもであれば、買い物の際に「牛乳は〇〇円だね、ジュースはいくらかな?」と実況中継をしたり、子どもに「価格を教えてね!」とお願いすると良いでしょう。具体的な商品を題材に、「モノには価格」があることを「知る」ことができます。5歳から7歳くらいであれば「カードがあれば何でも買えるかな?」といった問いから、現金以外の様々な支払い方法を「知る」ことができ、それぞれの利点や注意点、予算の概念まで徐々に会話を広げられるようになります。

また、子どもがお金に関する疑問を持ったら、親子で一緒に調べたり考えたりすることが大切です。単に知っている状態より、理解が深まり、「お金に対する自信」を築くまでの時間もグッと縮まります。

まとめ

慣れない外国暮らしを始めた当初は、多くの不安やストレスを感じましたが、まずは「知る」というプロセスを経て、徐々に慣れと自信をつけていくことが大事であることを、身を持って体感しました。
大人より経験の浅い子どもなら、よりその傾向が強くなるでしょう。

大人がわかっていないから、と家庭内でお金の話を遠ざけてしまうのは避けたいことです。
親子で一緒に過ごせる貴重な期間、ぜひたくさんお金に関する会話をして「知っている」ことを増やし、親も子どもと一緒に「お金に対する自信」を育んでいきましょう。

※出典:UK Children and Yong People’s Financial Wellbeing Survey: Financial Foundations, June 2023(PDF)より、筆者訳出

★2024年4月2日現在の情報です
(執筆:原田幸子

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※幸子さんのこれまでの連載【お小遣いで育てる子どもの未来】
全22話はこちらからお読みいただけます。

第1話:FP原田幸子の3歳の娘とはじめた「お小遣い」
第2話:0歳から始められるお金の教育
第3話:お小遣いは、いつから始める?定額制?それとも報酬制?
第4話:子どものお小遣い、定額制であげるなら、いくらがいいの?
第5話:お小遣いの金額、報酬制の場合は、どう決める?わが家の事例紹介
第6話:親子で話し合う「お小遣い会議」のススメ
第7話:お小遣いの約束を「お小遣い契約書」にまとめよう
第8話:「お小遣い帳」をつけてお金の流れを確認しよう
第9話:小さい子どもがお小遣い帳以外でできる、お金の管理法
第10話:やりくり力が育つ魔法の貯金箱、作ってみませんか?
第11話:上手にお金を使えるようになる「お買い物」トレーニングのすすめ
第12話:実践「お買い物体験」でトレーニング
第13話:ワクワク未来のために「お金を貯める力」を育む
第14話:「人のために使うお金」で豊かな心を育む
第15話:安易に「お金を借りる」を選ばないために~教えたい3つのこと~ 
第16話:自分でお金を払ってみたくなる!3つの練習法とは
第17話:親子でキャッシュレス体験をしてみよう
第18話:小学生になったら交通系ICカードでキャッシュレスのお勉強
第19話:お小遣いをキャッシュレスにするなら、親子でルールを決めよう
第20話:親子で防ぐゲーム課金トラブル
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第22話:5歳児のお小遣い、1年の成長を振り返る

 

 

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